AZERTY配列

AZERTY配列とは

AZERTY配列は、タイプライターやコンピューターキーボードに用いられる一種のキー配列で、特にフランスとベルギーで広く使われています。この配列名は、キーボードの左上から右に並ぶキーの列が「A」、「Z」、「E」、「R」、「T」、「Y」と続くことに由来しています。また、この配列は、ドイツ語圏で使われるQWERTZ配列や、米国の一般的なQWERTY配列に起源を持つことでも知られています。AZERTY配列は、特にフランス語の特性に応じた配置で設計されていますが、国によって少々異なるバージョンが存在しています。

AZERTY配列の特徴

AZERTY配列の主な特長としては、QWERTY配列とのいくつかの大きな違いがあります。例えば、QとA、WとZがそれぞれ入れ替わって配置されているため、多くのフランス語の単語に対応しやすくなっています。特に「Z」は、フランス語において動詞の二人称複数形（例えば「vous chantez」）に頻繁に使われるため、重要な変更と言えるでしょう。

さらに、MがLの右側に配置されており、QWERTY配列におけるセミコロンの位置にはMがあります。このように、AZERTY配列はフランス語をスムーズに入力するために特別に最適化されています。

数字のキー（0〜9）は見た目には同じですが、数字を入力するためにはShiftキーを併用する必要があります。そうでない場合には、アクセント付きの小文字が入力されてしまいます。記号の配置もほとんどがQWERTY配列とは異なるため、初めて使用する際は注意が必要です。

フランスにおけるAZERTY配列

フランスでは、このAZERTY配列が主流となっていますが、実はこの配列はフランス語のすべての文字や記号に完全に対応できているわけではありません。例えば、合字「æ」や「œ」、特殊なアクセントを持つ大文字（「À」、「É」、「È」、「Ù」、「Ç」など）の入力は難しく、また、特に活版印刷用の記号やノーブレークスペースの入力が求められる場面では不便さを感じることもあります。Linuxでは、より多くの記号を扱える配列が開発されているものの、一般的にはWindowsの標準的なAZERTY配列が使われています。

新しいAZERTY配列の登場

2019年には、フランス語入力の問題を解決するため、新たなAZERTY配列に関する規格が公布されました。この規格はAFNORによって定められ、AZERTYの新変形と人間工学に基づいたBÉPO配列の2種類が含まれています。この新配列は、フランス語の使用頻度や各文字の入力のしやすさを基に、より合理的に配置されています。

新しいAZERTY配列は、 2024年のWindows 11ではAFNOR NF Z71-300標準に基づく形で統合が図られており、設定に応じたドライバーが用意されています。これにより、ユーザーは親しみやすくもあり、かつより使いやすいキーボード配列を利用できるようになります。

AZERTY配列の使用国

AZERTY配列は主にフランスとベルギーで利用されるが、スイスやカナダなどの他のフランス語圏では別の配列（QWERTZやQWERTY）が使用されています。また、かつてのフランスの植民地であるアルジェリアやモロッコでも、ベルベル語のティフィナグ文字入力に利用される場合があります。さらにリトアニアでは、AZERTY配列を元にしたĄŽERTY配列が用いられることがありますが、ここでもQWERTY配列が主流です。

このように、AZERTY配列はフランス語を主とする地域で濃厚に使用されており、その役割や進化は続いています。今後も、情報技術の進化に伴って、より使いやすい配列の開発が期待されています。

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