ТУ7形ディーゼル機関車

ТУ7形ディーゼル機関車

ТУ7形は、旧ソビエト連邦から現在のロシア連邦にかけて製造された、軌間750mmから1067mmの狭軌鉄道向けのディーゼル機関車です。老朽化が進んでいたТУ4形やТУ2形の後継機として開発され、1971年から現在のウドムルト共和国にあるカムバルカ機械製造工場で生産が開始されました。その生産数は3300両を超える多数に上り、そのうち数百両は旧社会主義諸国を含む海外へも輸出され、多くの狭軌路線で活躍しました。

開発の背景と歴史

この機関車が開発されるに至った背景には、それまで運用されていた旧型機の性能的な課題がありました。ТУ4形は出力が230馬力と低く、重量のある列車を牽引する能力に限界がありました。一方、ТУ2形は機関車重量が32トンあり、軸重が8トンと大きすぎたため、比較的軽量な軌道を持つことの多かった狭軌鉄道の多くでは運用に適しませんでした。

これらの問題を解決するため、カムバルカ機械製造工場は1961年に出力400馬力の試作機関車ТУ5形を2両製造しました。これらの試作機はアブシェロン林野局の狭軌鉄道で試験運用が行われ、その設計は概ね良好と評価されました。しかし、実際の運用を通じて、特に新しい液体変速機を含む一部の装置に欠点が明らかになりました。この経験を踏まえ、1967年には生産科学技術研究所ВНИТИが、カルーガ機械工場に対して新型機関車ТУ7形の仕様と基本設計を提示しました。この設計は、先行するТУ5形やТУ4形から多くの要素を受け継ぎつつ、バルナウル輸送機械製造工場製の1D12型ディーゼルエンジンと、カルーガ機械工場で新たに開発された液体変速機を搭載することが想定されていました。

主な派生型と改良

ТУ7形は基本設計を基に、多岐にわたる派生型や改良型が生み出されました。

軽量型ТУ7: ТУ7形の軸重は6トンでしたが、それでも一部の狭軌鉄道には重すぎるという指摘がありました。そのため、1974年には燃料積載量を減らし、より軽量な液体変速機を採用することで、軸重を5トンにまで軽減した改良型が登場しました。この改良型は新たな名称を与えられず、従来のモデルと並行して同じ形式名で製造が続けられました。

ТУ7Р: 1978年には、ТУ7形をベースとしたロータリー除雪車であるТУ7Рが設計されました。この車両は、運転室の反対側に設置されたローターを駆動するためだけにディーゼルエンジンを使用し、走行用の液体変速機や車軸に接続された歯車箱は装備されていませんでした。

ТУ7М、ТГМ40: 1981年には、1520mm軌間の広軌鉄道で使用できるよう、ホイールベース、車輪径、全長、運転室などの構造を拡大・変更したТУ7Mが設計されました。このモデルは翌1982年からТГМ40という商標で製造・販売されました。これは狭軌用機関車を広軌用に設計変更した数少ない成功例として知られ、1983年のライプツィヒ・メッセでは金メダルを獲得するなど、国際的にも高い評価を得ました。

ТУ7А (1986年式): 1986年には、サスペンションの設計が改善された改良型が登場しました。

輸出向けモデル (ТУ7Э, 2ТУ7, ТУ7ЭЛ): 1976年から1977年にかけて、そして1991年には、762mmから1435mmまでの幅広い軌間に対応する単行機関車ТУ7Эや重連機関車2ТУ7などが開発され、ベトナム、キューバ、ブルガリア、チェコスロバキア、ギニアといった国々へ輸出されました。

ТУ7С: 1980年代後期から1990年代前期にかけて、カムバルカ工場は通信省の委託を受け、子供鉄道に特化した機関車の開発を試みました。これは従来の車両とは異なる箱型車体で、両側面から外部へ出られる特徴的な構造を持つ計画機であり、ТУ7Сと命名されました。残念ながら、当時の経済危機の影響を受け、設計進行中に計画は中止されてしまいました。

* ТУ7А (2008年式): 2008年には、ロシア連邦鉄道省からの委託により、子供鉄道専用の近代化された機関車が開発されました。このモデルは新型のディーゼルエンジンを搭載し、変速機にはドイツのフォイト社からライセンスを得て製造されたものが採用されました。制御方式も従来のディーゼル機関車と比較して近代化されており、これらは1986年式のТУ7Ａと並行して、その続き番号で生産されています。

このように、ТУ7形はその基本設計の優秀性から、狭軌用機関車としてのみならず、多岐にわたる用途や改良に対応できる柔軟性を持つ、ソ連・ロシアの鉄道史において重要な位置を占める機関車と言えるでしょう。

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