Ҽ

「Ҽ, ҽ」は、アブハズ語で使用されるキリル文字の一つです。この文字は、1892年にドミトリー・グリヤらによってアブハズ語を記述するために考案されたアルファベットに含まれており、現在でもアブハズ語の表記に用いられています。

由来

この文字は、アブハズ語の音韻体系を正確に表現するために、ドミトリー・グリヤらが作成したアルファベットの一部として導入されました。アブハズ語の独特な発音を表記するために、既存のキリル文字を基に新たな文字が作られた背景があります。

呼称

アブハズ語では、「Ҽ」は「Ҽы」と呼ばれます。Unicodeでは、「CYRILLIC CAPITAL LETTER ABKHASIAN CHA」および「CYRILLIC SMALL LETTER ABKHASIAN CHA」として定義されており、それぞれ大文字と小文字を区別しています。これは「アブハズ語のチェ」とも表現されます。

音素

「Ҽ, ҽ」は、無声そり舌破擦音/t͡ʂʰ/を表す文字です。この音は、舌先をそり上げて発音される破擦音で、アブハズ語の音韻体系において重要な役割を果たします。アブハズ語には、類似の音を表す文字として「Ч」がありますが、これは無声後部歯茎破擦音/t͡ʃʰ/を表し、「Ҽ」とは異なる音として区別されます。この区別により、アブハズ語の発音の正確な表記が可能になっています。

アルファベット上の位置

アブハズ語アルファベットにおいて、「Ҽ, ҽ」は第54字母に位置しています。この文字は、アルファベットの順序において「Ҷ」と「Ҿ」の間に配置されています。1892年にドミトリー・グリヤが著した「アブハズ語」では、第45字母として「Ꚓ」と「Ҽ̆」の間に位置していました。この位置は、初期のアブハズ語アルファベットにおける文字の順序と、その後の変遷を示しています。

符号位置




これらの符号位置は、コンピュータ上で「Ҽ, ҽ」を正しく表示・処理するために用いられます。

参考文献

• - Chirikba, V.A. 2003 Abkhaz. Lincom Europe.

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