アブハズ語

アブハズ語について

アブハズ語は、ジョージアにあるアブハジア自治共和国で主にアブハズ人が使用する言語です。この言語は約10万人に話者がいます。系統的には北西コーカサス語族に分類され、アブハズ・アディゲ語族に属します。この語族には、アバザ語、アディゲ語、カバルド語などが含まれています。かつてトルコで話されていたウビフ語もこの語族に入りますが、1992年に用いられなくなりました。

音韻

アブハズ語の音韻体系は非常に独特で、方言によって異なります。子音の数はおおよそ60個あり、多くの異なる発音を持っていますが、母音は広母音の/a/と狭母音の/ə/の2つだけです。ただし、実際には異音化が起こり、6つの母音音素が現れます。この言語の文法は能格言語であり、膠着語としての性質を持っています。名詞の形は比較的単純ですが、動詞の項目は接頭辞や接尾辞による変化が豊富で、非常に複雑な派生を示します。

歴史

アブハズ人は14世紀から15世紀にかけて北へ移動し、アバザ人となった集団が存在します。また、17世紀にはさらに別のアブハズ人の集団が北方に移動し、異なる方言を話すようになりました。1864年のコーカサス戦争以降、多くのアブハズ人がトルコに追放されましたが、アブハジア地域は2020年現在も多くのアブハズ人が居住しています。

言語の記録

アブハズ語に関する最古の資料は、エヴリヤ・チェレビによる『セイハトナーメ』にあります。彼は「奇妙で独特なアバザ人の言語」として、アブハズ語を含むコーカサスの言語を取り上げました。また、1840年にはジェームス・ベルがアブハズ語の単語を活字にし、1887年にはピョートル・ウスラルが初の文法書を出版しています。

方言

アブハズ語には多様な方言があり、大きく分類すると、アブハズ・アバザ語、北部方言（アバザ語）、南部方言（アブハズ語）などがあります。特にアブハズ語の標準語はアブジュワ方言を基にしています。

音韻的特徴

アブハズ語の子音は多様で、特にアブジュワ方言では58種類、ブズィプ方言では67種類の子音があります。有声・無声の区別に加え、放出音や口蓋化、唇音化などのバリエーションもあります。このように、アブハズ語は非常に複雑で多彩な音韻体系を持つ言語です。

正書法の歴史

アブハズ語は長い間文字が存在しなかったため、1862年にピョートル・ウスラルによってキリル文字による表記法が提案されました。1926年から1938年にはラテン文字、また1938年から1954年にはグルジア文字による正書法が採用されましたが、1954年以降は再びキリル文字が定着しました。\
これにより、アブハズ語は現代においても変化を続けている言語と言えます。

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