Ӹ

ダイアレシス付きのЫ（大[[文字]]: Ӹ, 小[[文字]]: ӹ）は、キリル[[文字]]の母音字の一つです。この文字は、キリル[[文字]]のЫの上にダイアレシス（トレマ、ウムラウトとも呼ばれる二点記号「¨」）を付加したもので、主に山地マリ語で使用されています。現代では、この言語以外での使用例はほとんど見られません。

音素

ダイアレシス付きのЫ（Ӹ, ӹ）は、国際音声記号（IPA）で /ɯ/ と表記される非円唇後舌狭母音を表します。これは、日本語の「う」の音に近いものの、唇を丸めない（非円唇）で発音される点が特徴です。

一方、ダイアレシスのない通常のЫは、/ɨ/ と表記される非円唇中舌狭母音を表します。この音は、/ɯ/ よりも舌の位置がやや中央に寄った音であり、日本語には対応する音が存在しません。このように、ダイアレシスの有無によって、発音される母音が明確に区別されます。

歴史的背景と使用状況

キリル[[文字]]は、主にスラブ語派の言語で使用されていますが、ロシア連邦内の少数民族の言語など、スラブ語派以外の言語でも採用されています。ダイアレシス付きのЫは、そうした少数言語の中で、独自の音韻体系を表記するために用いられてきました。山地マリ語は、ロシア連邦のマリ・エル共和国で話されるフィン・ウゴル語族の言語であり、独自の音韻構造を持っています。

符号位置

ダイアレシス付きのЫ（Ӹ, ӹ）は、Unicodeにおいて以下の符号位置が割り当てられています。

大[[文字]] Ӹ : U+04F8
小[[文字]] ӹ : U+04F9

これらの符号位置によって、コンピューター上でダイアレシス付きのЫを正確に表示・処理することが可能です。

関連事項

キリル[[文字]]: スラヴ語派の言語を中心に用いられる文字体系です。多くの言語で母音を表す文字として用いられており、その種類や発音は言語によって異なります。
Ы: ダイアレシスなしのЫは、キリル[[文字]]の一つで、/ɨ/の音を表します。この音は、ロシア語や他の多くのキリル[[文字]]を使用する言語で共通して見られます。

まとめ

ダイアレシス付きのЫ（Ӹ, ӹ）は、特定の言語、特に山地マリ語において重要な役割を果たすキリル[[文字]]の一つです。この文字は、特定の母音を表すためにダイアレシスを付加したものであり、その発音は通常のЫとは異なります。Unicodeで定義された符号位置により、コンピューター上での正確な処理が保証されています。言語学的な観点から見ても、この文字は、特定の言語が持つ独自の音韻体系を理解するための重要な手がかりとなります。

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