Ԁ

キリル[[文字]]の「Ԁ, ԁ」は、歴史的にコミ語の表記に用いられていた特殊な文字です。この文字は、1918年から1932年、そして1936年から1938年の短い期間にのみ使用され、その後はコミ語のアルファベットから姿を消しました。現在では、コミ語におけるこの音の表記には、一般的なキリル[[文字]]である「Д, д」が用いられています。

「Ԁ, ԁ」は、コミ語の初期の正書法において重要な役割を果たしていました。特に、ヴァーシリー・モロドツォフによって導入された最初の正書法で採用されたことが特筆されます。この正書法は、コミ語の表記体系を確立する上で重要なものであり、「Ԁ, ԁ」はその一部を担っていました。

音素

「Ԁ, ԁ」が表す音素は、音声学的には有声歯茎破裂音（IPA：[d]）です。これは、日本語の「だ」行の子音に近い音で、舌の先を上の歯の裏に当てて発音する音です。コミ語において、この音は頻繁に現れるため、初期の正書法では専用の文字が必要とされていました。

アルファベット上の位置

コミ語のアルファベットにおいて、「Ԁ, ԁ」は第5番目の文字として位置づけられていました。これは、当時のコミ語のアルファベット体系における、この文字の重要性を示しています。しかし、現在ではこの文字は使用されていないため、アルファベットの順序を覚える上での必要性は薄れています。

符号位置

「Ԁ, ԁ」は、Unicodeに登録されており、コンピュータ上で文字コードとして扱うことができます。これにより、過去のコミ語の文献や資料を電子的に保存・処理することが可能となっています。具体的な符号位置については、Unicodeの公式資料を参照してください。

歴史的背景

「Ԁ, ԁ」が使用された時代は、ソビエト連邦における言語政策が大きく変動した時期と重なります。コミ語の正書法は、ソビエト連邦の政治的・文化的変動の影響を受け、短期間に幾度も変更が加えられました。その過程で、「Ԁ, ԁ」は一度は採用されたものの、その後、より一般的なキリル[[文字]]である「Д, д」に置き換えられました。この変更は、おそらくはより多くの人にコミ語を普及させるための措置であったと考えられています。

現在の状況

現在、「Ԁ, ԁ」はコミ語のアルファベットとしては使用されていません。しかし、その存在は、コミ語の歴史や言語学の研究において重要な意味を持っています。この文字は、コミ語の表記体系がどのように発展してきたかを示す証拠であり、過去の言語政策の影響を理解する上での貴重な資料となります。また、「Ԁ, ԁ」のような、かつて使用されていた文字を研究することは、言語の変化や文化の変遷を考察する上で重要な視点を提供してくれます。

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