“B.A.D.”Beyond Another Darkness

B.A.D. Beyond Another Darkness

『B.A.D. Beyond Another Darkness』（ビヨンド アナザー ダークネス）は、綾里けいしによるライトノベル作品。イラストはkonaが担当し、ファミ通文庫（エンターブレイン）より2010年から2014年まで刊行されました。本作は、第11回エンターブレインえんため大賞小説部門で優秀賞を受賞しています。

あらすじ

物語は、一般の依頼をほとんど受けない繭墨霊能探偵事務所を中心に展開されます。そこで働くのは、小田桐勤という青年。彼は、事務所内に漂う甘いチョコレートの香りと、所長である繭墨あざかの気まぐれな言動にストレスを感じる日々を送っています。

そんなある日、街の廃ビルの谷間に、身元不明の内臓が落下するという奇怪な事件が発生します。さらに、事務所には「その内臓は自殺した姉のものだ」と訴える女性が現れ、物語は思わぬ方向へと進んでいきます。

主要な登場人物

繭墨 あざか（まゆずみ あざか）

強大な異能の力を持つ14歳の美少女で、繭墨霊能探偵事務所の所長。紅い唐傘を媒介にして異界と繋がり、夢を渡る能力を持ちます。性格は傲慢で冷酷、わがままで退屈を嫌い、陰惨な事件や人の死を娯楽として楽しむ一面も。黒いゴスロリファッションに身を包み、毎日チョコレートを食べて過ごします。偏食家でチョコレート以外の物を口にすることを拒否するほど。

小田桐 勤（おだぎり つとむ）

19歳の青年で、繭墨霊能探偵事務所の唯一の所員。元は平凡な高校生でしたが、あざかの兄・あさとによって腹に『鬼』を孕まされてしまいます。瀕死の状態だったところをあざかに救われ、以来、彼女の事務所で働くことに。あざかのわがままに振り回され、薄給で経費は自腹、仕事内容は他人の心の闇を覗くという過酷な日々に、ストレスを溜め続けています。ストレスからヘビースモーカーになってしまいましたが、腹に鬼がいる限り、あざかから離れることはできません。

雨香（うか）

静香の願望とあさとの異能によって小田桐の腹に宿った『鬼』。小田桐を「ぱぁぱ」と呼び、血を通じて他者の記憶を小田桐に伝えることができます。小田桐の感情に同調すると、腹を破って出てこようとします。急速に成長しており、外見は人間に近いですが、成長後の姿は不明。

繭墨 あさと（まゆずみ あさと）

あざかの腹違いの兄で、先代『あざか』の実子。17歳。常に狐の面をつけ、紺色の唐傘を持っています。繭墨家とあざかへの恨み、そして自身の娯楽のために、様々な怪異を引き起こします。他者の願いを叶える異能を持ちますが、それは元となる欲望があってこそ。あざかほどではありませんが、異界の表面を歩くこともできます。

嵯峨 雄介（さが ゆうすけ）

高校3年生。家庭環境に問題を抱え、過去の出来事から復讐を誓っています。骨格標本作りが趣味で、金属バットを常に持ち歩いています。小田桐の自宅アパートに入り浸り、事件に首を突っ込むことも。

七瀬 七海（ななせ ななみ）

小田桐が住むアパートの大家の孫娘で、しっかり者の小学生。小田桐を都合よく利用していますが、彼だけはそのことに気づいていません。将来は小田桐の妻になることを夢見ており、あざかと雄介を嫌っています。

メディアミックス

本作は、漫画化、ドラマCD化もされています。

漫画

角川書店の『月刊少年エース』と『アルティマエース』で漫画版が連載されました。作画は榊原宗々が担当。

ドラマCD

ファミ通文庫ドラマCD・FB CollectDramaシリーズより『B.A.D. 嗤う髑髏』が発売されました。丹下桜、杉田智和などの人気声優が出演しています。

既刊一覧

小説は全17巻、漫画は全2巻が刊行されています。

『B.A.D. Beyond Another Darkness』は、異能の力を持つ者たちの織りなすダークファンタジーであり、その奇抜な設定と予測不能な展開で読者を魅了します。

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