「天久鷹央」シリーズ

天久鷹央シリーズ

概要

「天久鷹央」シリーズは、作家・知念実希人による医療ミステリー小説です。主人公の天久鷹央は、卓越した診断能力を持つ医師であり、彼女が数々の難事件を解決していく物語が描かれています。シリーズの特徴として、医療現場を舞台にしたミステリーでありながら、主人公のキャラクター性や、助手との軽妙な掛け合いも魅力となっています。表紙イラストはいとうのいぢが担当しています。

新潮文庫nexから13巻、実業之日本社文庫から加筆修正された完全版13巻と新作長編2巻、短編集1巻が刊行されており、シリーズ累計部数は280万部を突破しています(2024年4月時点)。また、漫画化もされており、『月刊コミック@バンチ』で2016年から2018年まで連載された他、『good!アフタヌーン』では『天久鷹央の推理カルテ スフィアの死天使』の漫画版が連載中です。

医療ミステリー作品は、外科医が医局内の権力闘争を描くことが多いですが、本作は診断医としての主人公の知識と能力を活かして事件を解決していく点が特徴的です。2025年1月からはテレビアニメも放送開始しました。

あらすじ

物語の舞台は、天医会総合病院。統括診断部に所属する女医、天久鷹央のもとには、診断が困難な病気や、警察でさえ解決できない不可解な事件が次々と持ち込まれます。助手として配属された内科医見習いの小鳥遊優と共に、鷹央は類まれなる診断能力を駆使して、これらの難事件に挑みます。

登場人物

統括診断部メンバー

天久 鷹央（あめく たかお）
声 - 佐倉綾音
本作の主人公で、天医会総合病院の副院長兼統括診断部長。アスペルガー症候群と広義のサヴァン症候群により、超人的な記憶力、計算力、知能を持っています。その能力で、病院内で「診断困難」とされた患者や、外部からの不可解な事件を解決に導きます。小柄で童顔のため、年齢よりも若く見られることが多いです。
一方で、不器用な面や偏食癖もあります。映像記憶能力を持ち、一度見たものは忘れません。病院関係者からは「屋上に棲む座敷童」と陰口を叩かれています。しかし、小鳥遊との出会いをきっかけに、徐々に周囲に心を開き始めています。
難解な事件が発生すると、強引に介入して真相を暴きます。姉の真鶴には恐怖心を抱いており、兄の翼とは仲が良くありません。
小鳥遊 優（たかなし ゆう）
声 - 小野賢章
本作の語り手であり、統括診断部に所属する内科医見習い。鷹央からは「小鳥」というあだ名で呼ばれ、下僕のように扱われることもあります。統括診断部では、患者の愚痴を聞くことが主な仕事です。元々は外科医を目指していましたが、内科医に転向しました。
お人好しな性格で、傍若無人な鷹央と他のスタッフの間を取り持つ役割を担っています。感情が顔に出やすく、その性格を鷹央に利用されて、犯人を罠にかけるための囮にされることもあります。診断医としての能力は鷹央に及ばないものの、時折、鷹央が難事件を解決するためのヒントとなる発言をすることがあります。

天医会総合病院関係者

鴻ノ池 舞（こうのいけ まい）
声 - 石見舞菜香
研修医で、鷹央に憧れています。鷹央と小鳥遊の仲を縮めようとして、様々なデマを流すなど、お茶目な一面を見せます。初期は鷹央に話しかけるのも恐れていましたが、物語が進むにつれて親しくなり、鷹央を崇拝するようになります。普段はおどけていますが、急患対応ではテキパキと動き、武道にも長けています。
天久 真鶴（あめく まづる）
声 - 水樹奈々
病院の事務長で、鷹央の姉。鷹央とは対照的な一般人です。鷹央が苦手とする人物の一人。ソフトボールが得意です。
天久 大鷲（あめく おおわし）
声 - 立木文彦
院長で、真鶴と鷹央の叔父。合理主義者で、鷹央とは病院の運営方針を巡って対立しています。統括診断部についてもよく思っていません。
沖田 克也（おきた かつや）
小鳥遊が天医会総合病院に赴任した当時の救急部長。救急搬送されてきた患者に刺殺されました。
蔵野 正（くらの ただし）
小鳥遊が天医会総合病院に赴任した当時の脳神経外科部長。鷹央の知識に対抗しようとしましたが、後に自殺しました。
小田原 香苗（おだわら かなえ）
産婦人科部長。鷹央に好意を抱く数少ない理解者ですが、鷹央が苦手とする人物の一人。
熊川（くまかわ）
小児科部長。鷹央のことを子供の頃から知っており、好意を抱く数少ない理解者。
酒井（さかい）
腹部外科部長。大鷲派で鷹央を嫌っており、鷹央への医療過誤を元に訴状を起こされた際の統括診断部縮小案を議題として会議の場で鷹央が事件解決に導き大鷲が議題取り下げ宣言にも最後まで抵抗しようとした。
墨田 淳子（すみだ じゅんこ）
声 - 沢城みゆき
精神科部長。過去の誤診を鷹央に指摘されたことを恨んでおり、鷹央の精神科病棟への出入りを禁止しています。しかし、鷹央の診断能力については認めています。

警察関係者

成瀬 隆哉（なるせ りゅうや）
声 - 諏訪部順一
田無署の刑事。事件に首を突っ込む鷹央に反感を抱いていますが、犯人逮捕のためには協力せざるを得ない状況になっています。警察と鷹央の窓口係のような役割を担っています。
桜井 公康（さくらい きみやす）
声 - 平田広明
警視庁捜査一課の刑事。刑事コロンボのファンで、鷹央の推理力を高く評価しています。
川辺（かわべ）
警視庁捜査一課長。鷹央に秘密裏に事件を相談することがあります。

鷹央の関係者

御子神 氷魚（みこがみ ひお）
御子神記念病院の院長で、鷹央の恩師。鷹央と同等の頭脳を持ち、アスペルガー症候群などの発達障害を持っています。

用語解説

天医会総合病院：東京都東久留米市にある総合病院。主人公・天久鷹央が勤務する病院です。地域医療を担う三次救急指定病院です。
統括診断部：天久鷹央の能力を生かすために設立された部署。病院の屋上にある赤レンガ造りの建物が医局となっています。鷹央の家でもあり、数多くの本が積み上げられた「本の樹」がある。
時山病院：東京都西東京市にあった病院。自殺の名所として知られています。物語の舞台にもなりました。
清和総合病院：東京都西東京市にある総合病院。
倉田病院：療養型の病院。
帝都大学：鷹央の出身大学。日本最難関の医学部として知られています。
純正会医科大学附属病院：小鳥遊の出身大学。
陵光医科大学付属病院：鴻ノ池舞の出身大学。
タカタカペア：田無署や警視庁内で、鷹央と小鳥遊のコンビを指す通称。

既刊一覧

小説

新潮文庫nex版：既刊13巻（2023年10月現在）
実業之日本社文庫版：完全版13巻、新作3巻（2024年4月5日現在）

漫画

緒原博綺作画版：全4巻
武梨えり作画版：『天久鷹央の推理カルテ スフィアの死天使』

テレビアニメ

2025年1月から『天久鷹央の推理カルテ』のタイトルで放送中。

スタッフ

原作：知念実希人
キャラクター原案：いとうのいぢ
監督：いわたかずや
シリーズ構成・脚本：杉澤悟
キャラクターデザイン：高品有桂
アニメーション制作：project No.9

主題歌

オープニングテーマ：「SCORE」Aimer
エンディングテーマ：「will be fine feat. Anly」ゴスペラーズ

コラボレーション

日本赤十字社：献血キャンペーンを実施。
高尾登山電鉄：スタンプラリーなどを実施。
加古川市：市のイメージキャラクターとコラボ。

外部リンク

特集｜天久鷹央シリーズ | 新潮文庫nex
知念実希人 天久鷹央シリーズ特設サイト | 実業之日本社
天久鷹央の推理カルテ web＠バンチ
TVアニメ『天久鷹央の推理カルテ』公式サイト
天久鷹央の推理カルテ公式 (@Ameku_off) - X（旧Twitter）

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