知念実希人

知念実希人について

知念実希人（ちねん みきと）は、1978年10月12日生まれの日本の小説家であり、医師でもある。沖縄県南城市で生まれ、現在は東京都在住。東京慈恵会医科大学を卒業後、内科医として勤務する傍ら、小説家としての活動も行っている。

医師と小説家の二つの顔

知念実希人の作品の特徴は、医師としての専門知識と経験を生かした医療ミステリーであることだ。医療現場を舞台にしたリアリティあふれる描写や、医学的なトリックを盛り込んだ作品は、多くの読者を魅了している。

幼い頃から江戸川乱歩やコナン・ドイルに親しみ、「小説家になりたい」という夢を抱いていた。しかし、現実的な職業として医師の道を選び、医師家系の4代目として、曽祖父、祖父、父、弟、伯父、いとこが医師という環境で育った。大学卒業後は内科医としてのキャリアを積みながら、夜にファミレスなどで小説を執筆する生活を続けたという。

デビューと飛躍

2011年、『誰がための刃 レゾンデートル』でばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、翌2012年に同作で作家デビューを果たした。この作品は、選考委員の島田荘司から「深い医学的知見に圧倒される」と評された。その後も精力的に作品を発表し、『仮面病棟』や「天久鷹央」シリーズなど数々のベストセラーを世に送り出している。

特に「天久鷹央」シリーズは、累計250万部を超える人気シリーズとなり、多くのファンを魅了している。

本屋大賞への複数回ノミネート

知念実希人は、本屋大賞にも複数回ノミネートされており、『崩れる脳を抱きしめて』、『ひとつむぎの手』、『ムゲンのi』、『硝子の塔の殺人』、『放課後ミステリクラブ』と、5作品がノミネートされている。これは、彼の作品が幅広い読者から支持されている証拠と言えるだろう。

多様なメディア展開

知念実希人の作品は、小説だけでなく、映画やテレビドラマ、漫画など、多様なメディア展開が行われている。特に、『仮面病棟』は映画化され、大きな話題を呼んだ。『神酒クリニックで乾杯を』、『祈りのカルテ』、『となりのナースエイド』はテレビドラマ化され、幅広い層に認知されている。これらのメディアミックスによって、知念実希人の作品は、さらに多くの人々に親しまれるようになった。

趣味と人柄

趣味は、総合格闘技の練習と愛猫と遊ぶこと。大学時代に始めた合気道は2段、柔道初段の腕前で、ブラジリアン柔術にも長く取り組んでいる。また、猫好きとしても知られており、保護猫の活動にも寄付を行っている。

愛猫のマンチカン「ハリー」は、自身の作品『ムゲンのi』に登場するうさぎ猫のモデルにもなっており、SNSのアイコンやヘッダー画像にも使われている。また、「知念実希人」はペンネームであり、本名は非公開としている。

受賞歴と作品リスト

知念実希人は、数々の文学賞を受賞しており、ミステリーランキングでも上位にランクインしている。

主な受賞歴
2011年：ばらのまち福山ミステリー文学新人賞（『誰がための刃 レゾンデートル』）
2015年：啓文堂大賞（文庫部門）（『仮面病棟』）
2018年：広島本大賞（小説部門）（『崩れる脳を抱きしめて』）
2018年：沖縄書店大賞（小説部門）（『崩れる脳を抱きしめて』）
2020年：沖縄書店大賞（小説部門）（『ムゲンのi』）


主な作品リスト

「死神」シリーズ
『優しい死神の飼い方』
『黒猫の小夜曲』
『死神と天使の円舞曲』
「天久鷹央」シリーズ
『天久鷹央の推理カルテ』
『ファントムの病棟 天久鷹央の推理カルテ』
『密室のパラノイア 天久鷹央の推理カルテ』
『スフィアの死天使 天久鷹央の事件カルテ』
『悲恋のシンドローム 天久鷹央の推理カルテ』
『幻影の手術室 天久鷹央の事件カルテ』
『神秘のセラピスト 天久鷹央の推理カルテ』
『甦る殺人者 天久鷹央の事件カルテ』
『火焔の凶器 天久鷹央の事件カルテ』
『魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ』
『神話の密室 天久鷹央の事件カルテ』
『久遠の檻 天久鷹央の事件カルテ』
『生命の略奪者 天久鷹央の事件カルテ』
『吸血鬼の原罪 天久鷹央の事件カルテ』
『羅針盤の殺意 天久鷹央の推理カルテ』
『絶対零度のテロル 天久鷹央の事件カルテ』
『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』
「病棟」シリーズ
『仮面病棟』
『時限病棟』
「神酒クリニックで乾杯を」シリーズ
『神酒クリニックで乾杯を』
『神酒クリニックで乾杯を 淡雪の記憶』
「祈りのカルテ」シリーズ
『祈りのカルテ』
『祈りのカルテ 再会のセラピー』
「放課後ミステリクラブ」シリーズ
『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』
『放課後ミステリクラブ 2雪のミステリサークル事件』
『放課後ミステリクラブ 3動く亀の銅像事件』
『放課後ミステリクラブ 4密室のウサギ小屋事件』
『放課後ミステリクラブ 5龍のすむ池事件』
「となりのナースエイド」シリーズ
『となりのナースエイド』
『サーペントの凱旋 となりのナースエイド』
その他
『誰がための刃 レゾンデートル』
『ブラッドライン』
『改貌屋 天才美容外科医・柊貴之の事件カルテ』
『白銀の逃亡者』
『あなたのための誘拐』
『屋上のテロリスト』
『崩れる脳を抱きしめて』
『ひとつむぎの手』
『神のダイスを見上げて』
『レフトハンド・ブラザーフッド』
『ムゲンのi』
『十字架のカルテ』
『傷痕のメッセージ』
『硝子の塔の殺人』
『真夜中のマリオネット』
『機械仕掛けの太陽』
* 『ヨモツイクサ』

知念実希人は、医師としての知識と経験を生かし、医療ミステリーというジャンルで独自の地位を確立した作家である。今後も、彼の作品から目が離せない。

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