あがり一丁!

『あがり一丁!』

『あがり一丁!』は、1976年4月16日から10月8日まで日本テレビ系列で放送された、下町人情コメディドラマです。このドラマは、東京の浅草にある小さな寿司屋「勢ずし」を中心に展開される物語です。

物語の主人公は鈴木鉄夫で、松方弘樹が演じました。鉄夫は、5年前に失踪した父・鈴木幸三の帰りを待つ家族のために帰郷します。勢ずしは、父の幸三が経営破綻のために夜逃げし、店は危うい状況に置かれています。そこで、料理長の政が危篤に陥ったという知らせを聞いた鉄夫は、彼を助けるために戻ってくるのです。

物語は、事業に失敗し、残された母・千代子、妹・しのぶと共に何とか寿司屋を支える鉄夫の姿を描きます。彼は心優しい性格ながらも、直情的で喧嘩っ早く、前科のある経験から、しばしばトラブルに巻き込まれるキャラクターです。そんな鉄夫を軸に、不器用ながらも家族を支え合う姿がコミカルに描かれます。

作品では、鈴木家の奮闘を見ることができます。母の千代子や妹のしのぶは、何とか店を守るために努力を続けますが、やがてその苦境は彼らを追い詰めることになります。経済的困難に加えて、家庭の問題が次々と立ちはだかりますが、胡散臭い仲間たちとの連携や運命の出会いを通じて、鉄夫は家族への思いを新たにしていきます。

また、この作品では松方弘樹が弟の目黒祐樹と共演し、さらには父の近衛十四郎とも親子共演を果たすなど、映像的にも楽しませてくれる要素が盛り込まれています。この親子共演は、視聴者にとって感慨深い瞬間となりました。

その他のキャストには、淡島千景（鈴木千代子役）、伴淳三郎（鈴木幸三役）、水沢アキ（鈴木しのぶ役）など、多彩なキャストが揃い、各々のキャラクターが物語を彩ります。特に、鉄夫の義兄で屋台を営む甚平役の谷啓や、常連客である洋一郎役の目黒祐樹の存在も、ストーリーに深みを与えています。

主題歌は山下成司が歌い上げた『とおり雨』で、ドラマの雰囲気を一層引き立てる名曲として、多くの視聴者に愛されました。このように『あがり一丁!』は、笑いと涙、家族の絆を描いた心温まる作品として、多くの人々に記憶されています。

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