伴淳三郎

伴淳三郎について

伴淳三郎（ばん じゅんざぶろう、1908-1981）は、日本の昭和期に活躍したコメディアン及び俳優で、本名は鈴木寛定（すずき ひろさだ）です。愛称は「バンジュン」として知られています。彼は山形県米沢市に生まれ、父親は南画家の鈴木蘭涯でした。俳優としてのキャリアは長く、戦前戦後を通じて日本の映画や演劇界に多大な影響を与えました。彼の息子はスタイリストの山本康一郎です。

幼少期と俳優への道

伴は幼少期から家族の事情で東京と山形を行き来しながら育ちました。彼は山形市立第一尋常小学校を卒業後、熊谷市の兄の家に寄宿しましたが、兄との関係が悪化し、家出を決意。東京へ移り、叔父の紹介を受けて新派劇の舞台に立つことに。俳優としての道を志しながらも、初めはつまずきもありましたが、様々な劇団で経験を積みながら本格的な活動へとシフトしていきました。

戦前の活動

1927年からは日活大将軍撮影所に入り、大部屋俳優としてキャリアをスタートさせますが、端役からのスタートは長く続きました。1929年には渡辺邦男監督の映画『竜巻長屋』で大役を果たし、その後も渡辺監督の作品に多く出演しました。1934年には大都映画に移籍し、主役級として活躍、1937年には日活で忍術映画などに挑戦しました。

伴は一時、吉本興業からの人材引き抜きにも関わりましたが、その際にメモを置き忘れるという失態を演じ、そのおかげで後に歌手の灰田勝彦と仲良くなるきっかけも生まれました。戦後は新東宝の映画に復帰し、1951年からの活動で「アジャパー」という言葉が流行語になるなど、多くの支持を集めることとなります。

戦後のキャリア

戦後は清川虹子や笠置シヅ子と浅草で活動し、1953年には『アジャパー天国』が公開され、伴の人気は確固たるものとなります。また、1955年以降は松竹の「二等兵物語」シリーズや、駅前シリーズといった作品で愛され続けました。彼の演技はコメディにとどまらず、1964年にはシリアスな役どころでも力を発揮。”老刑事”という役で毎日映画コンクール男優助演賞を獲得しました。

また、彼は浅草サンバカーニバルを創設したり、地域社会のための募金活動にも注力するなど、多岐にわたる活動を行っていました。さらに関西喜劇人協会の会長としても知られ、売り出し中の後輩を鍛える一方で、強い個性を持っていたことが評価されました。

最晩年と功績

1978年には紫綬褒章を受章し、人気の高いコメディアンとしてその名を歴史に刻みましたが、1981年に食道静脈瘤破裂により73歳で亡くなっています。彼の枕元にはかつての妻である清川虹子が付き添い、彼女が喪主を務めました。伴淳三郎の遺作はテレビドラマ『ひまわりの歌』であり、彼の最後の姿が多くのファンの心に残りました。

伴の歩んできた道のりは、喜劇俳優としてだけでなく、多方面にわたる才能を持った人物として、多くの人々に愛され続ける要素が詰まっています。彼の墓所は米沢市の極楽寺にあり、今も多くのファンによって訪れ続けられています。

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