あさしお型潜水艦

あさしお型潜水艦について

あさしお型潜水艦は、海上自衛隊が運用する通常動力型潜水艦の艦級で、計画番号はS117です。この艦級では、合計4隻の同型艦が建造されました。以下に、その詳細な歴史や特徴を紹介します。

来歴

あさしお型の開発は、昭和31年度の初代「おやしお」の建造から始まりました。この時期、海上自衛隊では潜水艦の国内建造を再開し、アメリカ海軍のバラクーダ級を模範にした局地防衛用の小型潜水艦として、はやしお型やその発展型であるなつしお型が建造されました。しかし、これらの小型潜水艦はいくつかの制約を抱えており、特に荒天時には航行能力に問題がありました。

このような状況を踏まえ、海上自衛隊はより大型で航洋性に優れた潜水艦の建設を決定しました。昭和36年度計画では1,600トン型の「おおしお」が建造され、以降の計画でも対潜水艦戦を重視しつつ、潜水艦及び水上艦への攻撃能力を強化した潜水艦の建造が進められました。海上自衛隊の検討の結果、作戦任務が最重要であるとの方針が確立され、対潜戦訓練での標的艦任務の重要性は軽減されました。

設計

あさしお型の設計は「おおしお」の設計を踏襲しており、主に水上速度の向上が図られています。そのため、艦の長さが増加し、耐圧殻内は二重甲板構造になっています。また、潜望鏡の収納に配慮してセールの高さが増し、旋回圏の縮小も実現されています。本艦は、水中高速型の航洋潜水艦として設計され、船体構造は複殻式である一方、後部は単殻式にされ、全体のスリム化が進められています。

採用されている材料も、耐圧性能を意識した高張力鋼が使用されています。排水量は前の艦よりも約50トン増加し、大型化にもかかわらず性能の向上が図られています。また、昭和40年度計画艦では新艦型の検討もありましたが、最終的にはあさしお型での設計が採用されています。

機関

あさしお型潜水艦は、主発電機と電動機の改良が行われています。主発電機はSG-3B、電動機はSM-3Bを採用しており、2番艦以降ではそれぞれSG-3CとSM-3Cに更新されるなど、最新技術が導入されています。運用の静音性を向上させるため、様々な防音対策も施されています。

さらに、主機関の遠隔操縦や主蓄電池のモニタリング機能も導入され、操縦の自動化が図られています。

装備

あさしお型では、ソナーや兵装においても最新の技術が取り入れられています。アクティブ・ソナーはAN/SQS-4|AN_SQS-4に更新され、艦首下部に装備されています。パッシブ・ソナーも順次進化を遂げ、聴音能力の向上が図られています。

また、兵器システムも強化され、艦首側には水圧発射式の魚雷発射管が、艦尾側にはスイムアウト式のものが設置されています。これらの発射管はそれぞれ533mm口径で、艦首側発射管は熱機関推進式の72式長魚雷に改修されており、性能の向上が図られています。

同型艦

あさしお型は昭和38年度から41年度にかけて合計4隻が建造され、1966年から1969年にかけて次々に就役しました。しかしながら、1983年から1986年にかけて、すべての艦は退役し、除籍されることとなりました。

以上のように、あさしお型潜水艦は海上自衛隊において重要な役割を果たす潜水艦艦級として、長い歴史を持っています。

もう一度検索