あじさいの唄

あじさいの唄

森栗丸による漫画作品『あじさいの唄』は、江戸時代を舞台に、貧しいながらも心豊かな生活を送る人々の日常を描いた作品です。

概要

1990年に『ビッグコミックオリジナル増刊号』に投稿された作品が連載化され、1993年に『ビッグコミックオリジナル』へ掲載誌を移しました。2012年には『〜あじさいの唄〜 栗之助江戸草紙』と改題・リニューアルし、2013年まで連載されました。

また、2012年から2017年まで、スピンオフ作品として4コマ漫画『おーい 栗之助』が新聞各紙で連載されました。1998年には日本漫画家協会賞の優秀賞を受賞しています。

作者の森栗丸による次作『もふもふ』では、『あじさいの唄』の後日譚が描かれ、明治維新後の世界で成長した栗太郎や老犬となった栗之助が登場します。

あらすじ

物語は江戸時代、傘貼りの内職で生計を立てる父親と、犬の栗之助と暮らす少年・栗太郎を中心に展開されます。母親を亡くし、決して裕福とは言えない生活を送る栗太郎ですが、家族や近所の人々との交流を通して、心の温かさを感じながら日々を過ごしています。この作品は、そんな何気ない日常を丁寧に描き出しています。

登場人物

栗太郎（くりたろう）:
主人公の少年。素直で優しい性格で、近所の寺子屋に通っています。亡き母を恋しく思うことがあります。

栗之助（くりのすけ）:
栗太郎の飼い犬で、柴犬系の雑種犬。栗太郎に拾われ、いつも彼のそばにいます。人間の言葉を理解することができます。

栗太郎の父:
作中では「父上」と呼ばれることが多い。剣術の達人でしたが、今は傘貼りの内職で息子を育てています。照れ屋な性格で、亡き妻を深く愛しています。

栗太郎の母:
既に亡くなっていますが、天国から家族を見守っています。家族と紫陽花の花を愛していました。

ちびの助:
栗之助が連れてきた仔猫で、家族の一員となります。

忠さん（殿様）:
ある藩の殿様で、身分を隠して市中を訪れ、住民と交流することを好みます。栗太郎の父とは親友ですが、父は彼の正体を知りません。

花木みく:
栗太郎が憧れる女の子です。

ごんちゃん:
栗太郎の友人で、丸眼鏡をかけたリーダー格の少年です。

* 高村銀八郎:
栗太郎たちが通う寺子屋の先生です。

単行本

ビッグコミックス・スペシャル（小学館）から、14巻と傑作集1巻の合計15巻が刊行されています。

おーい 栗之助

『あじさいの唄』の登場人物が登場する4コマ漫画で、中日新聞など複数の新聞で連載されました。江戸時代を舞台にしながらも、現代的な要素を取り入れたユーモアのある作品です。

OVA

2004年には、ソフト・オン・デマンド（SOD）よりOVA作品としてアニメ化されました。これは、アダルトビデオを専門としてきたSOD初の一般向け作品です。

ラジオドラマ

2011年と2012年に、文化放送『青山二丁目劇場』にてラジオドラマが放送されました。

『あじさいの唄』は、懐かしい日本の風景の中で、人々の温かい心の交流を描いた作品です。ぜひ一度、手に取って読んでみてください。

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