あそぎり型巡視艇

あそぎり型巡視艇

あそぎり型巡視艇（Asogiri-class patrol craft）は、海上保安庁（JCG）が運用する巡視艇の一階級であり、PC型に分類されます。この船級は、公称船型として30メートル型に分類され、海上での様々な任務を遂行するために設計されています。

来歴

あそぎり型は、昭和45年度から49年度にかけて建造された初の量産型軽合金製巡視艇です。この型は、以前に多く建造されたしきなみ型（23メートル型PC）の後継として設計されました。しきなみ型は17隻の大量建造が行われたことから、他にもはやなみ型（35メートル型PC）やしまぎり型（23メートル型PC）などの代船も開発されました。

設計

あそぎり型巡視艇は、海難救助、領海警備、密輸取締り、航路哨戒、海洋汚染監視など、幅広い任務に対応できる汎用船としての特性を持っています。既存の30メートル型PCであるむらくも型よりも一回り大型の設計となっており、特に船体は高張力鋼を使用して構造が強化されています。加えて、重心を下げるために上部構造物はアルミニウム合金製となっています。これにより、航路哨戒時の運用効率が向上しています。操舵室は全周に窓が設けられており、周囲の視界が良好です。

主機関には、MTUフリードリヒスハーフェン社製のV型16気筒ディーゼルエンジンが使用されており、特130トン型PS（たかつき型）と同様の2070馬力の出力を持ちます。固定ピッチ・プロペラが推進器として採用されています。また、領海警備の観点から、船首甲板にはブローニングM2重機関銃が設置されています。

同型艇

あそぎり型巡視艇は、通常3隻で構成される領海警備艇群があります。これらの船艇は、上部構造物が白色、船体が灰色の塗装をされていますが、航路哨戒に特化した3番艇「うらづき」だけは船体も白色に塗装されており、海上保安庁のロゴとS字章が描かれています。特筆すべきは、1999年に発生した能登半島沖不審船事件です。この事件では、巡視艇「なおづき」が不審船を追跡し、64式7.62mm小銃による威嚇射撃を行いましたが、燃料不足により追尾を断念せざるを得ませんでした。

なお、巡視艇の船名は必要に応じて改名されることがあります。あそぎり型巡視艇は、その独自の設計と任務に対する汎用性から、海上保安庁における重要な役割を担っています。

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