あぶない刑事 (映画)

あぶない刑事：横浜を舞台にしたスタイリッシュな刑事アクション

1987年12月12日、東映洋画系にて公開された『あぶない刑事』は、人気テレビドラマシリーズの劇場版第一作として大きな話題を呼びました。テレビシリーズの人気をそのままに、スケールアップしたアクションと、より深みのあるストーリーが展開され、観客動員数も大成功を収め、1988年邦画配収第4位、配給収入15億円という記録的なヒットを記録しました。同時上映作品は『七福星』でした。

キャッチコピーは「ケガする前に、捕まりな。」、「取り扱い注意。」、「ヨコハマに、火傷しそうな刑事（デカ）がいる。」、「ヤバイくらいマブイやつら。」と、作品の世界観を表す複数のキャッチコピーが使用されました。これらからも、痛快なアクションと、危険な雰囲気を漂わせるハードボイルドな世界観が見て取れます。

緊迫感あふれるストーリー

物語は、金曜の夜に発生した事件から始まります。パトカーがロケット弾で爆破されるという衝撃的な出来事が、物語全体に緊張感をもたらします。

それと同時に、大手製薬会社「中光製薬」の研究センターで、新薬開発担当の技師2名が殺害され、抗癌剤の開発データが破壊されるという事件が発生します。

港署は、これらの事件の容疑者として、公安からマークされている傭兵・豹藤幸次郎を指名手配します。

一方、鷹山と大下は、事件に関連してライバル企業の株価が急騰し莫大な利益を得た画商、鳴海総太郎に目をつけます。鳴海の秘書である結城緑を連行して取り調べを行いますが、豹藤は、結城緑との身柄交換を条件に、薫を誘拐するという大胆な行動に出ます。

犯人の大胆な行動に港署は翻弄され、焦燥感に駆られた大下は、鷹山の方針に反発し、単独行動を開始します。犯人と警察の攻防、そして、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、物語はクライマックスへと進んでいきます。

個性豊かな登場人物たち

本作には、個性豊かな登場人物たちが登場し、物語に彩りを添えています。

鳴海総太郎: 画商であり個人投資家でもある鳴海は、自社株価操作を目論み、豹藤を利用してライバル会社の中光製薬を陥れようとしていました。

結城緑: 鳴海の秘書として働く結城は、最初は口を閉ざしていましたが、次第に鳴海の真の姿を目の当たりにすることになります。彼女の行動が物語の鍵を握ります。

豹藤幸次郎: 公安からマークされている危険な傭兵で、破壊工作のプロフェッショナルです。鳴海の手先として暗躍しますが、彼自身の野望も秘めている危険な存在です。

もちろん、鷹山敏樹と大下勇次をはじめとするおなじみのキャラクターたちも活躍します。テレビシリーズから続く二人のコンビネーションと、それぞれの個性も、本作の見どころです。

スタッフとキャスト

豪華なキャスト陣とスタッフ陣によって制作された本作は、そのクオリティの高さでも知られています。舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子ら人気俳優の演技、そして、長谷部安春監督による演出が見事に融合し、見事な作品に仕上がっています。

音楽もまた、作品の世界観を彩る重要な要素となっています。志熊研三と小林信吾による音楽、そして、鎌田英子、舘ひろし、柴田恭兵による主題歌・挿入歌も大きな話題となりました。

製作から映像ソフト化まで

当初は東宝との配給交渉が進められていましたが、最終的には東映との提携が決定しました。この作品は、日本テレビプロデューサー岡田晋吉にとって初の黒字映画となりました。

現在では、DVDとBlu-rayが発売されており、自宅でこの名作を鑑賞することができます。DVDにはメイキング映像や予告編などの特典映像も収録されています。Blu-rayでは、さらに高画質で、スタッフ座談会などの特典映像も追加されています。また、地上波でも度々放送されており、多くの人々に親しまれています。

『あぶない刑事』は、スタイリッシュな映像、緊迫感あふれるストーリー、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす、忘れられない作品となっています。一度は見ておくべき、日本を代表する刑事アクション映画と言えるでしょう。

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