あぶない刑事の劇用車

あぶない刑事シリーズの劇用車：華麗なる車列の歴史

人気テレビドラマおよび映画シリーズ『あぶない刑事』は、そのスタイリッシュな演出とカーチェイスアクションで知られています。そして、その魅力を語る上で欠かせないのが、劇中に登場する数々の車両たちです。本稿では、シリーズを通して使用された車両を、時代別に詳しく見ていきましょう。

『あぶない刑事』〜『もっともあぶない刑事』

初期シリーズでは、日産自動車が車両提供を行っていました。中でも、大下と鷹山が搭乗する覆面車として使用されたF31型レパードは、シリーズを象徴する存在となり、現在でも根強い人気を誇ります。独特のゴールドとシルバーのツートンカラーは、多くのファンを魅了しました。

このほか、町田が使用したA31型セフィーロや、度々激しいカーチェイスを繰り広げたR31型スカイラインなども印象的です。港署の覆面車としては、セドリックやグロリアの登場頻度が高かったことも特徴的です。日産車の提供が主であったため、他メーカーの車両はごく少数に留まり、犯人車両やスタント用などに限られていました。

レパード(F31型)は、シリーズを通して数々のカーアクションシーンを演じ、その人気はプラモデルやミニチュアカーの製品化にも繋がりました。現在でも、F31型レパード専門の中古車ショップが存在するほどです。劇用車の修理・整備は、横浜市西区の日産神奈川販売株式会社中央店（旧横浜日産モーター株式会社本社・中央店）で行われていました。

『リターンズ』以降

『リターンズ』からは、車両提供が三菱自動車へと変わり、主役車両も大きく変化します。町田の愛車はRVRスーパースポーツギアターボとなり、深町課長の愛車はデリカスターワゴン4WDが警察車両として登場しました。スタントやエキストラ車の多くがトヨタ車となり、日産車の登場は減少しました。一方、大下と鷹山の覆面車は、アルファロメオ164スーパー24Vというイタリア車へと変更されました。

続く『フォーエヴァー』では、TVスペシャルとTHE MOVIEで車両提供が異なりました。TVスペシャルは、放映枠スポンサーのマツダが協力し、マツダ車が覆面車として使用されました。THE MOVIEでは再び三菱自動車が協力しています。

『まだまだあぶない刑事』では、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドが車両提供を行い、マセラティ・クアトロポルテが主役車両として登場しました。国産車の登場はなく、パトカーにもスバル車が初めて登場しています。

『さらばあぶない刑事』では、27年ぶりに日産自動車が車両提供に復帰。GT-Rやスカイライン、フェアレディZなど、日産の最新モデルが多数登場し、懐かしのF31型レパードも復活しました。

『帰ってきたあぶない刑事』では、再び劇用車会社の車両が中心となり、シリーズ初となるBMW 3シリーズカブリオレがタカとユージの専用車として起用されています。

劇用車の運命

シリーズを通して、数々の車両が激しいカーアクションによって損傷、時には全損に至るなど、過酷な運命を辿っています。しかし、シリーズ全作を通して全損した「港署の覆面車」は、実は意外に少ないです。

まとめ

『あぶない刑事』シリーズは、時代と共に変化する自動車産業を反映し、その時代を代表する車両が数多く登場しました。それぞれの車両が、個性的なキャラクターや、それぞれのドラマを彩り、作品の魅力をさらに高めています。シリーズを通して使用された車両は、日本の自動車史の一端も垣間見れる、貴重な資料と言えるでしょう。これらの車両は、単なる小道具ではなく、ドラマの一部として、そして時代を反映した象徴として、多くの視聴者の記憶に深く刻まれています。シリーズのファンにとっては、愛車たちの活躍ぶりを追いかけることも、大きな楽しみの一つと言えるでしょう。

もう一度検索