あぶない刑事リターンズ

あぶない刑事リターンズ：7年ぶりの復活と進化したアクション

1996年9月14日、東映系で公開された『あぶない刑事リターンズ』は、人気シリーズ『あぶない刑事』の劇場版第4作目です。前作から7年の歳月を経ての復活作ということもあり、多くのファンから大きな期待が寄せられました。

新たな課長と進化した映像技術

本作では、シリーズの顔とも言える近藤課長役の中条静夫さんが1994年に逝去されたため、新たに深町課長役として小林稔侍さんが加わりました。ベテラン俳優の小林さんの存在感が、物語に深みと重厚感を与えています。

また、本作から視覚効果プロデューサーとして大屋哲男さんが参加。デジタル合成やコンピュータグラフィック（CG）を駆使したVFXと特撮を積極的に取り入れることで、アクションシーンのスケールは大幅に拡大されました。シリーズ初となるドルビーステレオ方式の採用も、臨場感あふれるサウンドを実現する上で大きな役割を果たしています。

複雑に絡み合う陰謀と、二人の刑事の活躍

ストーリーは、定年退職した近藤課長に代わり、深町課長が着任した港署から始まります。問題児の鷹山と大下を快く思わない深町課長は、二人を厳しく叱責します。

そんな中、関内の高級クラブが爆破される事件が発生。鷹山と大下は、負傷したホステス・樋口麻美から事情を聴取するため病院へ向かいますが、麻美が何者かに拉致される現場を目撃します。地下駐車場での激しい銃撃戦の末、辛うじて麻美を保護することに成功します。

大下は爆弾の特徴から単独で捜査を開始。一方、鷹山は麻美から話を聞こうとしますが、目立った進展はありません。そんな中、大下が爆弾犯である唐木を逮捕するとともに、銀行頭取集団誘拐計画の情報を得ます。鷹山と大下は計画を阻止しますが、新人刑事の虎井が犯人グループに拉致されてしまいます。

深町の目を盗んでの独断捜査の中で、「ブレーメン」という名の国際的なカルト組織の存在が明らかになります。この組織は、新世界の創造という理想を掲げ、資金集めのために頭取集団誘拐計画を実行。さらに、旧ソビエト製のミサイルを密かに日本へ持ち込み、原子力発電所の破壊を企てていました。

様々な登場人物が複雑に絡み合い、緊迫感あふれる展開を見せる物語は、最後まで目が離せません。鷹山と大下の活躍はもちろんのこと、個性豊かな脇役たちの存在も物語を彩っています。

キャストとスタッフ

本作には、舘ひろしさん、柴田恭兵さん、浅野温子さんらおなじみのキャストに加え、小林稔侍さん、伊原剛志さん、倉田てつをさんなど豪華な顔ぶれが出演しています。監督は村川透さん。

スタッフ陣も、脚本家、撮影監督、音楽担当など、それぞれの分野で高い評価を得ているベテランたちが集結し、作品全体のクオリティを高めています。

作品全体の評価と影響

『あぶない刑事リターンズ』は、シリーズファンだけでなく、多くの観客を魅了し、高い評価を得ました。VFXを駆使したアクションシーンや、ドルビーステレオによる臨場感あふれるサウンド、そして個性豊かなキャラクターたちが織りなす物語は、多くの人の記憶に残る作品となりました。

また、本作は『大都会 PARTIII』のエピソードを原案としており、脚本家たちのこだわりも感じられる作品となっています。公開当時、劇場版では存在したセリフが、ビデオソフト化の際に修正されたというエピソードも興味深い点です。

『あぶない刑事リターンズ』は、シリーズの歴史の中でも重要な作品であり、後の作品にも影響を与えたと言えるでしょう。DVDやBlu-ray、そして地上波での放送を通じて、現在も多くのファンに愛され続けています。

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