関内

横浜市中区関内地区：歴史と近代が調和する街

関内は、神奈川県横浜市中区に位置する、横浜市の中心市街地として古くから栄えてきた地域です。行政上の地名としては存在しませんが、大岡川、首都高速横羽線、堀川、そして東京湾に囲まれたエリアを指し、国土交通省選定の都市景観100選にも選ばれています。横浜駅周辺と共に横浜都心の主要な中心部（ツインコア）として機能し、都市再生特別措置法による特定都市再生緊急整備地域にも指定されています。(2018年10月指定)

地名の由来と歴史

関内という地名は、1859年（安政6年）に開港した横浜港の区域を指す呼び名に由来します。当時、現在の関内地区は入り江「洲乾湊」であり、久良岐郡横浜村は周辺の砂州上にありました。1812年と1856年の埋め立てを経て、1860年には中村川の延長開削によって堀川が開削され、大岡川、派大岡川、堀川に囲まれた現在の関内の地勢が形成されました。

横浜港開港にあたり、江戸幕府は東海道の宿場町である神奈川宿への外国人入港を避け、隣接する横浜村を開港地としました。神奈川宿と横浜村を結ぶ道に架けられた吉田橋に関門が設けられ、その関門の内側が「関内」と呼ばれたのが地名の起源です。関門は明治4年に廃止されましたが、地名として現在まで残っています。

関内地区は、開港以来、西洋文化を積極的に取り入れて発展しました。アイスクリームやビール、ガス灯など、横浜における数々の発祥の地であり、現在も多くの近代洋風建築が当時の面影を残しています。一方、関門の外側は「関外地区」と呼ばれ、現在の伊勢佐木町周辺にあたります。ただし、関内駅周辺の地下街であるマリナード地下街の存在や、ガイドブック等の編集上の都合から、伊勢佐木町の一部に関内が含まれる場合もあります。これはあくまでも便宜的なもので、地名の定義が変わったわけではありません。

交通アクセスと都市計画

関内地区には、JR根岸線、横浜市営地下鉄ブルーラインの関内駅、および横浜高速鉄道みなとみらい線の馬車道駅、日本大通り駅、元町・中華街駅があります。2004年のみなとみらい線開通により、横浜駅周辺やみなとみらい地区へのアクセスが向上し、街の再開発が促進されています。

しかし、古い建物を取り壊してマンション建設が進む一方で、都市計画上の課題も発生しました。そのため、横浜都心機能誘導地区建築条例が制定され、関内駅周辺ではマンション建設が規制されています。これは横浜駅周辺でも同様です。

関内地区の主な施設と観光地

関内地区には、神奈川県庁舎、横浜市役所、神奈川県警などの官公庁のほか、多くの企業が集積しています。また、馬車道、中華街、山下公園など、歴史的な観光地も数多く存在し、隣接するみなとみらい地区と合わせて、年間を通して多くの観光客で賑わっています。関内ホールなどの文化施設も地域に活気を与えています。「横浜三塔」と呼ばれる神奈川県庁本庁舎、横浜税関、横浜市開港記念会館も関内地区のランドマーク的存在です。

歴史年表

1812年: 横浜新田完成
1856年: 太田屋新田完成
1859年7月1日: 横浜港開港
1860年: 堀川開削
1866年10月21日: 関内大火
1869年: 吉田橋の架け替え、日本初のアイスクリーム製造開始
1871年9月: 関門廃止
1872年: ガス灯点火
1889年4月1日: 横浜市制施行
1928年11月: 神奈川県庁舎（キングの塔）完成
1934年: 横浜税関（クイーンの塔）完成
1945年: 横浜大空襲
1964年5月19日: 関内駅開業
2004年2月1日: みなとみらい線開通

関内地区は、歴史と現代が共存する、横浜を代表する魅力的なエリアです。今後も、歴史的資産の保存と、新たな開発のバランスを取りながら、発展を続けていくことでしょう。

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