あべけん太

あべけん太

安部 健太（あべ けんた）は、1987年4月2日に生まれた日本の会社員であり、タレントとしても活動しています。彼はダウン症候群の当事者であり、タレント活動においては自らを「ダウン症のイケメン」と称しています。

生い立ちとキャリア

三人姉弟の末っ子としてこの世に生を受けたあべけん太は、生後間もなくダウン症候群であると診断されました。公立の小学校、中学校と通常の学級で学び終えた後、横浜市内のフリースクールに入学しました。このフリースクール在籍中に、自身がダウン症候群である事実を両親から知らされたといいます。

その後、IT分野の企業に就職し、総務部に配属されました。ここでは書類作成の補助やオフィス内の清掃業務などを担当しました。会社勤めと並行して、彼は障害のある人々のタレント活動を支援する芸能事務所「ケイプランニング」に所属。これを機に、テレビ番組への出演や全国各地での講演活動など、精力的な活動を開始します。

メディアでの活躍

2012年からは、NHK Eテレで放送されている、障害者のリアルに迫る情報バラエティ番組『バリバラ〜障害者情報バラエティー〜』およびその関連番組にレギュラー出演するなど、主要な一員として活躍するようになりました。特に2014年には、番組が出生前診断をテーマにした回を特集した際、あべけん太は自ら取材者として関係者や街頭の一般市民に話を聞くインタビューを行ったり、大学で特別講義を行うなど、積極的な取り組みを行いました。さらに、2015年12月には同番組の特別企画ドラマで主演を務めるなど、表現者としての才能も発揮しています。

社会へのメッセージ

あべけん太は、自身の経験に基づき、社会的な問題に対しても積極的に発言しています。2015年11月には、茨城県教育委員会委員が障害のある子どもたちの出生に関して不適切と受け取られる発言を行い大きな波紋を呼んだ際には、その発言を「言ってはいけない言葉だ」と厳しく批判し、自身の考えを表明しました。

現在の活動

2017年2月には、彼の兄が個人事務所として「Down Up株式会社」を立ち上げました。あべけん太は現在もこの事務所に所属し、会社員としての業務を続けながら、全国各地を訪れて講演会やイベントへの参加を通じて、ダウン症への理解を深めるための啓発活動に力を注いでいます。

私生活

私生活では、2011年に母親を事故で亡くしており、現在は父親と兄と同居しています。趣味は絵画、水泳、レスリング、ボクシングと多岐にわたります。好物はビールですが、タバコは苦手とのことです。また、体力面でも優れており、ホノルルマラソンを11時間台で完走した経験があります。普通自動車運転免許も取得しており、活動範囲の広さを示しています。

著作

彼の活動は書籍としてもまとめられています。自らの半生や日々の思いを綴った『今日も一日、楽しかった』が2017年に朝日新聞出版から刊行されています。

『今日も一日、楽しかった』（朝日新聞出版、2017年）

主な出演作品

映画

『バケツと僕!』（2018年）
『ある日本の絵描き少年』（2019年） - マサル 役

テレビ

『バリバラ〜障害者情報バラエティー〜』（NHK Eテレ、2012年〜）
* 『ハートネットＴＶ フクチッチ ダウン症 前編・後編』（NHK Eテレ、2025年）

あべけん太は、会社員、タレント、啓発活動家として、様々な立場から社会に貢献し続けています。彼の活動は、多様な人々が共に生きる社会の実現に向けた重要な一歩となっています。

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