あらい汎

あらい 汎: パントマイムの巨匠の軌跡

あらい汎（あらいはん）は、1944年7月30日生まれの日本の俳優、演出家、そして作家です。本名は荒井範昭（あらいのりあき）で、長野県岡谷市出身です。彼はパントマイム劇団「汎マイム工房」を主宰し、日本の演劇界において重要な役割を果たしています。また、旧劇団転形劇場やプロダクション旧ザッコにも所属していました。

幼少期と学び

汎は舞台芸術学院の15期生として卒業し、下村正夫と兼八善兼の指導を受けました。彼は新劇系劇団の研究生からキャリアをスタートし、小劇団を設立。その後、児童劇団などにも参加し、舞台芸術の幅を広げました。

パントマイムとの出会い

汎は「ザ・パントマ」との出会いを通じてパントマイムに興味を持ち、その後、コラボレーション作品に関与するようになりました。銀座のシャンソン喫茶やレストランでは、看板代わりに人形の演技をしながらパントマイムを披露し、多くの観客から評判を得ました。その結果、テレビ番組「ロッテ歌のアルバム」や映画にも出演することになります。

転形劇場とママコとの出会い

1968年には大田省吾が主催する「転形劇場」に入団し、1971年にはヨネヤマママコとの出会いを果たします。彼女のもとで演出助手や共演の活動を行い、パントマイムの技術を更に磨きました。

海外公演と受賞歴

1973年にはアメリカのヴィスコンシンマイムフェスティバルに参加し、その後もヴィテルボカレッジでマイムやクラウンの教育を受けました。1976年に「汎マイム工房」を設立、その後、さまざまなテレビ番組や舞台で活動を広げます。1982年にはイタリアマイムフェスティバルでマイム劇「男のヴァラード」を上演し、マイムソリスト賞を受賞しました。また、1983年には黙劇「待合室」で総合グランプリを獲得し、フランスやギリシャ、イギリスなど海外のフェスティバルへの公演にも招待されました。

近年の活動

2010年には、谷川俊太郎の詩「かなしみ」からインスパイアを受けた作品「あの青い空の波の音が聞こえるあたりに」を発表。劇団の公演に加え、あらい汎ソロマイムコンサート「汎・マイム・ひとり旅」や「パントマイム詩集」など全国で上演し、学校やライブハウスでもパフォーマンスを展開しています。

主な作品と著作

あらい汎が作り上げた作品には、「ゆかいな海賊大冒険」や黙劇「待合室」などがあります。彼の著書には「白塗りの道化師」や「パントマイムの心と身体」があり、教育に対する情熱も示しています。彼の活動は、日本の演劇文化に大きな影響を与えるものであり、パントマイムという表現芸術の魅力を多くの人々に伝え続けています。

結論

あらい汎のキャリアは、パントマイムの普及と教育への強い思いによって築かれてきました。彼の貢献は、これからの世代にも引き継がれ、日本の演劇界に新たな風を吹き込むことでしょう。

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