あんたがたいしょう

四国放送で長年にわたり親しまれた深夜ラジオ番組、それが『あんたがたいしょう』です。1980年 7月6日に産声を上げ、足かけ28年の放送期間を経て、2008年 9月28日に惜しまれつつ最終回を迎えました。リスナーとの距離が近く、独自のスタイルを貫いたこの番組は、多くの深夜放送ファンにとって忘れられない存在となっています。

番組は当初、わずか30分の放送枠でスタートしました。しかし、その人気と共に規模を拡大し、1984年4月には1時間番組へと成長します。この改編期には一時、放送時間帯が土曜日の深夜24時台へと移りましたが、わずか半年後の同年10月には、再び元の馴染み深い日曜日の22時台に戻り、最終回までこの時間帯で放送を続けました。

番組を彩ったパーソナリティは、四国放送のアナウンサーが中心でした。番組開始当初は、遠藤彰良氏と大村光代氏がマイクを握りました。特に遠藤氏は番組のスタートから終了まで関わり続けた大黒柱です。1982年10月からは、当時新人アナウンサーだった佐藤旬子氏が大村氏に代わって参加。以降、番組の歴史の大部分は、遠藤氏と佐藤氏という名コンビによって紡がれました。また、後に落語家となる桂七福氏も、入門前の牛田モー名義でレギュラーとして番組を盛り上げていました。

『あんたがたいしょう』の大きな特徴の一つが、リスナーとの強い繋がりでした。番組では「あんたがたいしょうくらぶ」、通称「あんくら」という無料会員制度を設けていました。返信用切手を同封して手紙を送るだけで誰でも会員になれ、投稿が番組で採用されると、ハガキや番組ステッカーなどの記念品が贈られる仕組みです。投稿紹介時には会員番号も読み上げられ、リスナーはより番組に参加している実感が得られました。記念品は時代によって変化し、『青春キャンパス』関連グッズや、四国放送のマスコットキャラクター「おもぞう君」グッズなども登場しました。

番組はバラエティ豊かなコーナーで構成されていました。リスナーからの投稿ネタが盛り上がると、それが新たなコーナーとして独立することも頻繁にあり、多い時期には12～13ものコーナーが同時に存在したと言われています。ハガキ数枚で次のコーナーへ移るような目まぐるしさも、番組の活気を示すものでした。初期には「山くずし」と称し、放送中に届いたばかりの投稿をその場で選んで読むというライブ感あふれる試みも行われていました。

名物コーナーのいくつかを見てみましょう。「あんたいノベル」や「ひとりごとのコーナー」では、パーソナリティの佐藤旬子氏をいじる投稿が多く寄せられ、人気を博しました。夏季限定の「怪談話」は、怖い話と思わせて実は駄洒落やユーモアで落とすという趣向。時代の流行を取り入れた「ヒロシのコーナー」や「なんでだろうのコーナー」なども存在しました。リスナーの赤裸々な体験談を募集する「うらみますのコーナー」や、ちょっと過激なネタを扱う「びっくりマンボーのコーナー」など、深夜放送らしい際どい内容のコーナーもありました。「遠くで聞いてるゾォ～!」は、放送エリア外から番組を聞いているリスナーからのメッセージを紹介するコーナーで、北海道や熊本といった遠方、さらにはスウェーデンからの投稿が読まれたこともあり、番組が全国、海外にも届いていた証と言えます。

その他にも、「ジョーク&ジョーク」での駄洒落判定（ブザーから鐘へ変更）、リスナーの挑戦記録を紹介する「あんたいギネスノート」、俳優・泉見洋平氏（当時は本名の藤井孝浩氏）のニューヨーク留学時代の様子を伝える「ニューヨーク通信」など、多岐にわたるコーナーが番組を彩りました。特に、古い徳島弁で書かれたハガキを送ってくる特定の常連リスナーの投稿が非常に面白かったため、1987年からはそのリスナーの名前を冠したコーナーが設けられ、毎週そのハガキを読むだけでコーナーが成立し、多くのファンレターが届くほどの人気ぶりだったという逸話も残っています。

スポンサーは時代と共に変遷しましたが、リバーシティージャスコ徳島店、広岡カメラ、ハレルヤ、ダイヤレーンなどが名を連ねました。CMはオープニング後とエンディング前に集中的に放送され、番組本編中はCMなしでコーナーが連続するという構成も特徴的でした。

同じ日曜深夜には、四国放送の別番組『パワフルトクシマどないしょん』が放送されており、『あんたがたいしょう』のパーソナリティはしばしば番組内でライバル視し、いじるようなトークを展開していました。奇しくも『パワフル―』の方が放送開始は1年早かったものの、放送終了は『あんたがたいしょう』の方が後となり、四国放送の深夜を代表する番組としてその存在感を長く放ち続けました。

約28年にわたる長い歴史の中で、『あんたがたいしょう』は多くのリスナーに愛され、深夜の時間を共に過ごしました。リスナーとパーソナリティの距離の近さ、投稿中心の参加型スタイル、そしてバラエティに富んだユニークなコーナーの数々が、この番組を唯一無二のものとして記憶に留めています。

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