あゝ上野駅

あゝ上野駅の概要

「あゝ上野駅」は、1964年に発表された日本のポピュラーソングであり、歌手としての井沢八郎の名を広めることとなった楽曲です。この曲は、作詞を関口義明、作曲を荒井英一が担当し、井沢八郎が歌唱を務めました。オリジナルのシングル盤は、TR-1053というレコード番号で発売され、その後もいくつかの改版や再発が行われました。

曲の誕生の背景

この曲の誕生は、上野駅で見かけた集団就職の少年たちを題材にしたことがきっかけです。関口が自身の詩を農家向け家庭雑誌『家の光』に応募したところ、見事1位に選ばれました。その結果、この作品は東芝レコードによってレコード化され、ほぼ無名だった井沢八郎の歌唱によって世に出ることとなりました。彼は青森県から上京し、夢を追い続けている若者として、多くの共感を呼びました。

リリース後、「あゝ上野駅」は多くの人々に支持され、特に団塊の世代からは「心の応援歌」として親しまれるようになりました。曲がリリースされると、すぐにヒットし、累計では100万枚以上の売上を記録しています。

音源とその変遷

オリジナル音源はモノラルであり、歌詞の間に井沢による台詞は最初に吹き込まれていませんでしたが、井沢が出演していたテレビの歌番組での出来事がきっかけとなり、即興で台詞を追加しました。このエピソードが反響を呼び、後に台詞入りバージョンとして再録音されました。その後、疑似ステレオ盤としてのリリースや、B面曲を井沢の別のヒット曲「北海の満月」に差し替えたベスト盤も登場しています。

1985年には、テイチクレコードから新バージョンがリリースされ、さらに2001年には、東北本線で運行されたリバイバル急行「津軽」号の発車セレモニーで井沢が歌い、歌の普及に寄与しました。また、2003年には上野駅に歌碑が建立され、地元の観光名所としても知られるようになりました。

歌碑の建立とその意義

歌碑は2003年に建立され、除幕式には約2,000人の参加者が集まりました。歌碑は、高さ2.6メートルで、若者たちが駅に降り立つ様子やC62形蒸気機関車のレリーフが描かれています。歌碑の存在により、上野駅は地域の文化や歴史の象徴となり、訪れる人々に愛されるスポットとなっています。

2013年には、上野駅の開業130周年を記念し、駅の発車メロディとしても採用されるなど、曲は今なお多くの人々に親しまれています。

井沢八郎の死と後の出来事

井沢八郎が2007年に他界した後も、「あゝ上野駅」は歌い継がれています。彼の娘である工藤夕貴は、父の曲を受け継ぐと宣言し、2022年に記念のイベントで初めてこの曲を歌唱しました。工藤は感謝の気持ちを込めて父に向かって呼びかける場面もあり、家族の絆と音楽の力を感じさせる場面でした。

2023年には工藤自身の歌う「アンサーソング」が収録されたCDも発売されました。

関連曲

この曲に関連する作品も数多く存在し、例えば、霧島浩二による「パートII」や平成バージョン、また井沢による「ありがとう」などがあります。これらの楽曲を通じて、あらゆる世代が「あゝ上野駅」の魅力を感じることができるでしょう。

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