集団就職

集団就職について

集団就職とは、日本において主に1940年代から1970年代にかけて見られた、地方の中学校や高等学校を卒業した若者が都市の企業に集団で就職する制度を指します。特に高度経済成長期には、農村部から都市部へ若者たちが大規模に移動し、労働力として都市の産業を支えました。この動きは当初は戦前から存在しましたが、特に戦後の復興期に盛んに行われるようになります。

背景

日本の戦後復興期、特に工業生産が急増する中で、都市部の製造業や小売業では、単純労働力のニーズが高まりました。多くの農村家庭では、経済的な理由から子供を高校に進学させる余裕がなく、早期に就職させることが望まれました。そのため、義務教育を修了した中卒者が都市部に向かい、企業の求人に応じて職を求めるようになりました。特に都市部では、地方からの中卒者の流入が多く、動機づけとなるような賃金の高さも都市への移動を加速させた要因の一つです。

集団就職の始まり

集団就職の最初の例は1935年に遡ることができ、これは秋田県からの集団採用が行われたものでしたが、戦後の1947年以降、再び活発に行われるようになります。1951年には「集団就職列車」が運行され、全国から大勢の若者たちがこの特別な列車を利用して東京や名古屋へと職を求めて旅立ちました。これにより、多くの地方出身者が都市での生活をスタートさせ、彼らは後に「金の卵」と称されるようになります。

成長期の集団就職

1950年代から60年代にかけて、高度経済成長とともに行政や企業の協力で、集団就職は盛んになりました。特に東京都の足立区、葛飾区などでは、多くの中卒者が居住し、彼らは多くが工業や小売業などで働き始めました。この際、労働条件や賃金の改善も求められ、企業側はこれに応じて求人を積極的に行うようになりました。

教育と社会の変化

当時の日本社会では、中に進学する経済的余裕のない家庭が多く見られ、高校進学が難しい中卒者が多く存在しました。このため、集団就職は若者に経済的自立をもたらす重要な手段となりました。1970年代に入ると、進学率の上昇や産業構造の変化が顕在化し、徐々にどのように雇用が変化していくかが試され始めました。特に高卒者の供給が増えるにつれ、従来の中卒者中心の雇用形態は徐々に影を潜めていきました。

集団就職の終焉

1970年代に入ると、教育環境や経済状況の変化により、集団就職の必要性は減少しました。特に1975年には集団就職列車の運行も終了し、集団就職は沖縄を除いて全国的に姿を消しました。そして、1977年に労働省（当時）はこの制度を完全に廃止しました。

影響と評価

集団就職は、日本の経済成長を支える一因となりましたが、その反面、若者は若いうちから厳しい労働環境にさらされることも事実でした。また、この現象は地方と都市の大きな格差を生み出す一因ともなり、次第に生じた教育に対する意識の変化は、今後の人材育成に多大な影響を及ぼすことになります。

現代において、集団就職の影響からは多くの教訓を学ぶことができるため、新たな教育政策や雇用対策としての視点が求められています。

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