いい話みつけ旅

いい話見つけ旅

『いい話見つけ旅』（いいはなしみつけたび）は、1988年に放送されたテレビ番組です。全国各地への旅を、ドラマ仕立てというユニークな形式で紹介していました。この番組は、朝日放送と松竹芸能が共同で製作を手がけ、テレビ朝日系列局と兵庫県の独立放送局であるサンテレビで放送されました。テレビ朝日系列においては、1988年4月3日から同年9月25日までの期間、毎週日曜日の午前10時30分から10時55分まで、25分間の枠で放送されていました。

番組の内容と特徴

番組のコンセプトは、旅先をただ紹介するのではなく、物語仕立てで描き出すという点にありました。出演者は、架空の雑誌記者という設定で登場し、その取材活動を通じて各地の風景や文化、人々との出会いなどを紹介しました。このドラマ形式により、視聴者は単なる情報ではなく、登場人物の視点を通して旅を体験するような感覚を味わうことができました。製作が在阪のテレビ局である朝日放送だったため、日本全国はもちろんのこと、近畿地方の魅力的なスポットも多く取り上げられていました。

特異な放送体制

『いい話見つけ旅』の放送体制には、非常に珍しい特徴がありました。通常のテレビ朝日系列局での放送に加えて、兵庫県の独立放送局であるサンテレビでも放送が行われていたのです。これは、兵庫県自身が番組の企画段階から深く関与し、さらに複数の企業とともに番組提供者の一つとなっていたという、特別な事情があったためです。系列局と独立局を跨いで同一のレギュラー番組が放送されるという事例は、当時としては極めて異例であり、この番組独自の取り組みでした。比較として、翌年の1989年4月から半年間放送された、日本テレビが製作した『週刊文珍』でも、兵庫県が企画・提供に関わっていましたが、こちらはサンテレビでは放送されませんでした。このことから見ても、『いい話見つけ旅』におけるサンテレビでの放送がいかに特殊なケースであったかが伺えます。

製作局特有の事情

製作局である朝日放送は、大阪に本拠地を置いているため、夏の時期には全国高校野球選手権大会の主要中継局となります。この高校野球の大会期間中は、レギュラー番組の放送スケジュールが変更されることがしばしばあります。『いい話見つけ旅』もその影響を受ける番組の一つでした。高校野球シーズンに入ると、通常編成での定時放送が難しくなるため、番組は、直前の時間帯に放送されていた紀行番組『AGFテレビエッセイ 旅の街から』とともに、高校野球中継の影響を受けないANNフルネット局に向けて、事前に番組素材を送り出す「裏送り」という形が取られました。そして、大会が終了した後、改めて本来の日曜日午前10時30分とは別の時間帯に、振り替え放送を行うという対応がなされました。これは、スポーツイベントとの兼ね合いから生じる、製作局ならではの編成上の工夫と言えます。

出演者とナレーター

番組に出演し、雑誌記者として旅の案内役を務めた主な俳優は、黒沢年男さん（現在、黒沢年雄として活動）、斉藤慶子さん、そして山下規介さんでした。彼らがドラマ形式の中で各地を巡り、番組を構成しました。番組全体の雰囲気を伝え、視聴者を旅へと誘うナレーションは、当時、朝日放送のアナウンサーを務めていた乾龍介さんが担当されていました。

『いい話見つけ旅』は、わずか半年間の放送期間ではありましたが、ドラマ仕立てという独自のスタイルや、兵庫県の関与によるサンテレビでの異例の放送、そして夏の高校野球期間中の編成対応など、記憶に残る特徴を持った旅番組として知られています。

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