いきいきサロンきのくに

いきいきサロンきのくにの魅力と歴史

いきいきサロンきのくには、西日本旅客鉄道（JR西日本）が1989年から2007年にかけて導入していた特別な観光用の鉄道車両です。この車両は、ジョイフルトレインと呼ばれ、特色ある内装とサービスで多くの人々に親しまれました。その前身は、1981年から1989年まで使用されていた和式客車にさかのぼります。ここでは、いきいきサロンきのくにの成り立ちや特徴を詳しく見ていきましょう。

いきいきサロンの前身：天王寺鉄道管理局お座敷客車

いきいきサロンきのくにの起源は、国鉄の天王寺鉄道管理局が保有していたお座敷客車にあります。この客車は、和式の常客席を持つスロ81系に由来し、老朽化した客車を置き換える形で導入されました。1981年4月に改造されたこれらの客車は、和歌山の地域性を反映した愛称名を持ち、特別な体験を提供することを目的としていました。車両自体は6両編成で、高砂工場で改造が施されていました。

いきいきサロンきのくにへの改造

1989年、「いきいきサロンきのくに」として再生するため、前述のお座敷客車は鷹取工場で大規模な改造が行われました。この改造によって、外観や内装が大きく変わり、イベントカーも新たに導入されました。編成は当初の256名から152名へと大幅に定員が減少したものの、より快適で多機能な空間が実現しました。

車両構成と特徴

いきいきサロンきのくには、以下の6両で編成されています。

1. スロフ12 808 - 定員28名
2. オロ12 816 - 定員32名
3. オロ12 815 - 定員32名
4. オロ12 814 - イベントカー（定員外）
5. オロ12 813 - 定員32名
6. スロフ12 807 - 定員28名

4号車はイベントカーとして特化されており、カラオケステージやAV機器が設置されていて、ユニークな体験を提供します。

インテリアの工夫

いきいきサロンきのくには、車内のデザインにもこだわりがあります。各席はリクライニング可能な座椅子と掘りごたつを備え、和の雰囲気を醸し出しています。また、中央に掘りごたつを設置することで、グループでの交流がしやすくなりました。モニターテレビも設置され、映像コンテンツを楽しむことができる工夫がされていました。内装は畳が敷かれていて、温かみのある雰囲気を演出しています。特に、天井には格子が施され、窓には障子をはめ込むことで、和のテイストが強調されています。

運用とその後の歴史

改造後のいきいきサロンきのくには、和歌山電車区新在家派出所に配置され、1989年9月から営業運行が開始されました。初めは暫定的に4両編成で運行されていましたが、その後完全な6両編成での運行が開始され、地域の観光シーンに新しい風を吹き込みました。残念ながら、2007年に運用を離脱し、同年11月に廃車となるまで多くの人々に愛され続けました。

まとめ

いきいきサロンきのくには、そのユニークな車両構成と快適な空間で、多くの人々に忘れられない旅の思い出を提供してきました。和の文化を体感できる特別な空間は、地域の観光資源としても重要な役割を果たしていました。このような歴史を持った鉄道車両の存在は、まさに日本の鉄道文化の一端を担っています。

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