いじわる問答 「男と女」

『いじわる問答 「男と女」』は、1968年1月5日から同年3月29日まで、フジテレビ系列で放送された異色の討論番組です。平日正午の15分間という短い放送時間ながら、男女の関係性を巡る様々なテーマについて、出演者が時に辛辣な言葉を交えながら議論を戦わせるスタイルが特徴でした。

この番組は、月曜日から金曜日まで毎日放送される帯番組として企画されました。当時のテレビ番組としては、正面から男女の機微や社会風俗に切り込む討論番組は比較的新しい試みであり、特に「いじわる問答」というタイトルが示すように、単なる冷静な議論に留まらない、出演者の個性や毒舌が番組の色合いを決定づけていたと言えます。

番組で取り上げられたテーマは、夫婦生活における本音、恋愛観の違い、あるいは当時の流行や世相といった、男女の視点から語られる多岐にわたる事柄でした。出演者としては、岡田眞澄、梶山季之、野末陳平、戸川昌子、三浦布美子、佐々木久子といった、各界で活躍する著名人たちが名を連ねていました。彼らは、それぞれの専門分野や人生経験に基づき、男性側、あるいは女性側を代表する立場で持論を展開しました。

15分という限られた時間枠の中で、出演者同士が自由に、あるいは互いを刺激するような形で意見をぶつけ合ったと考えられます。そのやり取りは、視聴者にとって新鮮であり、日常的な会話では踏み込みにくい領域にまで切り込むことで、共感や反論、時には反発を呼び起こしたと想像されます。番組の刺激的な雰囲気は、昼下がりの時間帯に放送される番組としては異例であり、その斬新さゆえに注目を集めた一方で、短期間での放送終了となった背景も推察されます。

1960年代後半という時代は、社会の価値観が大きく揺れ動き始めていた時期でもありました。男女間の役割や関係性にも変化の兆しが見られ、伝統的な価値観と新しい考え方が混在していました。そうした時代背景の中で、『いじわる問答 「男と女」』は、表面的な建前だけでなく、人間の本音や社会の裏側にある側面を垣間見せようとする意図があったのかもしれません。

出演者たちの顔ぶれを見ると、俳優、作家、政治評論家、評論家など多様であり、それぞれの立場から出る意見は、議論に厚みと多様性をもたらしました。例えば、戸川昌子のような作家や評論家は、社会や人間の心理に対する深い洞察を基にした意見を述べた可能性があり、岡田眞澄のような俳優は、より大衆的な視点や経験に基づいた発言をしたかもしれません。このような異なるバックグラウンドを持つ出演者たちの組み合わせが、番組に予測不能な面白さをもたらしたと考えられます。

番組は1968年3月29日をもって終了し、約3ヶ月間の短い歴史に幕を閉じました。しかし、その短い期間において、『いじわる問答 「男と女」』は、当時の日本のテレビ番組において、男女間の問題や社会風俗といったテーマを赤裸々に、そして刺激的に扱う先駆けの一つとなったと言えるでしょう。その毒舌を交えた討論スタイルは、後年の様々なタイプのバラエティ番組や情報番組に影響を与えた可能性も考えられます。短い放送期間ながらも、当時の視聴者に強い印象を残した番組であったと言えます。

主な出演者

岡田眞澄
梶山季之
野末陳平
戸川昌子
三浦布美子
佐々木久子
* ほか

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