佐々木久子

佐々木久子：酒とカープを愛した情熱の編集者

佐々木久子（1927年2月10日 - 2008年6月28日）は、日本の編集者、評論家、随筆家として、その生涯を多彩な活動で彩りました。特に、雑誌『酒』の編集長を長年務めたこと、そして「カープを優勝させる会」を旗揚げし、広島東洋カープを熱烈に応援したことで知られています。

生い立ちと被爆体験

広島県広島市に生まれた佐々木は、幼少期から酒に親しみ、広島女子商業学校、広島大学へと進学しました。1945年、広島市への原子爆弾投下により、自宅で被爆。自身は母親と共に救出されたものの、父親を原爆症で亡くすという悲しい経験をしました。戦後は、広島で青年運動、平和運動、新劇などの活動にも携わりました。

上京、そして『酒』創刊

大学卒業後、佐々木は単身上京。1955年4月、雑誌『酒』を創刊し、1997年の休刊まで42年間編集長を務めました。その間、新潟県の地酒「越乃寒梅」にいち早く着目し、後の地酒ブームの先駆けとなりました。また、1985年には厚生省の諮問機関「おいしい水研究会」の委員にも就任しました。

仕事と交友関係

佐々木は、その人柄から多くの文化人との交流がありました。

火野葦平との絆：雑誌『酒』が創刊1年で廃刊の危機に瀕した際、小説家の火野葦平が自身の命を賭けて無償で執筆を約束し、雑誌を救いました。
坂口三千代との交流：文壇バー「クラクラ」を開いたばかりの坂口三千代に『クラクラ日記』の執筆を勧め、11年間の連載に繋げ、単行本化、テレビドラマ化もされました。
「カープを優勝させる会」：1966年には、梶山季之ら広島出身の文化人・芸能人を集め、「カープを優勝させる会」を結成。広島東洋カープを熱烈に支援し、1975年の初優勝、そして1979年、1980年の日本シリーズ優勝に大きく貢献しました。佐々木自身もカープを応援する知識人として、たびたびメディアに登場しました。

その後

1990年代後半から仕事を減らし、1997年に雑誌『酒』を休刊。21世紀に入ってからも地元放送局で社会評論を続け、2003年には最後の著書を出版しました。2005年に脳梗塞で療養生活に入り、2008年、多臓器不全のため81歳で亡くなりました。生涯独身でした。

著書一覧

佐々木久子は、数多くの著作を世に残しました。以下に主な著書をリストアップします。

『浮気笑論 - 男がサカナにされる本』（1966年）
『酒と旅と』（1972年）
『酒縁歳時記』（1977年）
『男百人男だけの肴』（1978年）
『酒恋うる話』（1979年）
『酒 - はる・なつ・あき・ふゆ』（1982年）
『地酒と肴'83 - 四季の味特選』（1983年）
『佐々木久子のお酒とつきあう法』（1983年）
『酒と旅と人生と』（1983年）
『あまからぴん』（1985年）
『酒に生きるおやっさん』（1989年）
『おいしいもの見つけた』（1990年）
『続・酒に生きるおやっさん』（1990年）
『酒の旅人 - 佐々木久子の全国酒蔵あるき』（1994年）
『覚むれば独り』（1994年）
『わたしの放浪記』（1995年）
『今宵も美酒を』（2003年）



佐々木久子は、その情熱的な生き方と、酒、そして故郷広島への深い愛情で、多くの人々に影響を与え続けました。

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