いっかくじゅう座

いっかくじゅう座（Monoceros）

いっかくじゅう座は、現代の88星座の中で特に新しい星座のひとつであり、17世紀に考案されました。この星座は、額に一本の角を持つ架空の生物であるユニコーンをモチーフにしています。いっかくじゅう座は、シリウス、プロキオン、ベテルギウスの三つの明るい恒星が形成する「冬の大三角」に囲まれた地域に位置しています。

主な天体

いっかくじゅう座には目立った固有名を持つ恒星は少ないものの、いくつかの名高い星雲や星団が存在しています。2022年の時点で、国際天文学連合（IAU）によって二つの恒星が公式に名前を持っています。それぞれの恒星は以下の通りです。

• - HD 45652：ポルトガルが命名権を獲得し、主星は「Lusitânia」、その伴星は「Viriato」と名付けられました。
• - HD 52265：エルサルバドルの命名権により、主星は「Citalá」、伴星は「Cayahuanca」と命名されています。

この他にも、いっかくじゅう座には様々な性質を持つ恒星があります。例えば、α星は視等級3.94等のG型巨星であり、最も明るいβ星は視等級3.74等の連星系です。また、ε星は4.31等の明るさを持つ連星で、4.398等のA星と6.60等のB星からなります。

さらに新たな発見として、2002年に観測された「V838星」という新星もあり、この星は当初典型的な新星とみなされていましたが、後の研究で二つの恒星が合体した結果として高輝度赤色新星と特定されました。

星団・星雲・銀河

いっかくじゅう座には、いくつかの著名な星団や星雲も存在します。

• - M50：この散開星団は、太陽系から約3200光年の距離にあります。1772年にシャルル・メシエによって発見されましたが、以前にジョヴァンニ・カッシーニによって発見されていた可能性があります。
• - ばら星雲：この散光星雲は、主要な天文観測の対象となり、太陽系からおよそ5000光年の距離に位置しています。
• - NGC 2261：この星雲は、いっかくじゅう座のR星の光を受けて輝き、長年にわたって観測されてきました。

由来と歴史

いっかくじゅう座の起源は、オランダの神学者であるペトルス・プランシウスが1612年に作成した天球儀にさかのぼります。プランシウスは「Monoceros Unicornis」という名で星座を描いていました。後にドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスがこの星座を再度取り上げましたが、これにより誤解が生じ、バルチウスが考案者であると思われることがありました。

現代における呼称

日本語での呼称は、1879年にノーマン・ロッキャーの著書で「ユニコルン（一角）」と訳され、その後も「一角獣」として定着しました。現在では「いっかくじゅう」という呼称が広く用いられています。また、中国では「麒麟座」として知られています。この星座には特に古代の神話や伝承は存在しないものの、不思議な魅力を持つ天体の集まりです。

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