ペトルス・プランシウス

ペトルス・プランシウス：天文学者、地図製作者、聖職者の生涯

ペトルス・プランシウス（Petrus Plancius）は、1552年に現在のベルギーのドラヌーテル村で生まれたオランダの天文学者、地図製作者、および聖職者です。彼の業績は、天文学や航海、地図製作において重要な役割を果たしました。プランシウスは、星図や天球儀の制作を通じて、現在も利用されている4つの星座を考案しています。また、カルヴァン派の牧師としては、当時の教義に反対し、信教の自由を追求しました。

生涯の始まり

プランシウスは、オランダのハプスブルク家による厳しいカトリックの支配下で成長し、1576年には24歳で改革派教会の牧師として活動を開始します。彼は、メヘレンやブリュッセル、ルーヴェンなどで伝道に努めましたが、この時代は信仰を理由に迫害される危険がある時期でした。1579年には未亡人のジャハンナ・ゲウベルスと結婚し、アムステルダムに逃れた後は説教師として活動を続けました。

航海と地図製作

プランシウスは自然科学や地図学に強い関心を持っており、1590年にメルカトルの地図を改良した地図を出版しました。1592年には、当時の最新情報を基に、バルトロメウ・ラソの海図を用いて「Nova et exacta Terrarum Tabula geographica et hydrographica」を制作しました。この作品は、航海と地図製作の分野において重要な意味を持っています。

また、プランシウスは、アムステルダムの商人たちが設立した遠国会社にも助言し、東インドとの香辛料貿易を目指しました。彼は、スペインやポルトガルの艦隊との衝突を避けるため、北アジアを周る航路を探索することを指導しましたが、残念ながら成功には至りませんでした。この試みは彼の名声を高め、航海技術の発展にも寄与しました。

東インド遠征

1595年から1597年にかけて行われた最初の東インド遠征は、商業的な成功には結びつきませんでしたが、多くの後続の航海者に影響を与えました。この遠征では249名が参加し、帰還できたのはわずか87名でした。しかし、商人たちはこの冒険を東アジア貿易の始まりだと捉え、ポルトガルによる香辛料貿易の独占が終わる契機となりました。

神学と教義の変化

プランシウスは、天文学や航海に多くの時間を費やしていたため、伝道の準備が不十分であるとの批判を受けました。こうした批判を受けて、1599年には船員たちに対して説教を始め、1602年にはオランダ東インド会社の設立に積極的に関与しました。彼は、予定説に移行し、アルミニウス主義と対立するようになります。

1610年には、反レモンストラント派のリーダーとしてドルトレヒト会議を呼びかけましたが、彼の不寛容さから招待されることはありませんでした。しかし、彼は聖書の改訂がなされることを認められました。

天文学上の業績

天文学においては、1589年に南天の星座を含む天球儀を制作しました。この天球儀は、南極三角形や十字型の星座であるCruxなどを含んでいました。プランシウスは、1603年に新たに8つの星座を追加した天球儀をアムステルダムで発表し、その中にはきりん座やいっかくじゅう座なども含まれます。

彼の業績は、多くの天文学者に影響を与え、星座の理解や天体観測に新たな視点をもたらしました。プランシウスにちなんで命名された小惑星（10648）プランシウスは、彼の業績を称える象徴と言えるでしょう。

最後の年々

1622年5月15日に彼は亡くなり、教会の地位に相応しい形で埋葬されなかったというが、彼の影響はその後も脈々と受け継がれていきました。彼の研究や革新は、天文学や航海の分野において現在でも評価されています。

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