いつも上天気

『いつも上天気』（It's Always Fair Weather）は、1955年にアメリカ合衆国で製作されたミュージカル映画です。華やかなダンスと歌で彩られた作品であり、主演はミュージカルスターとして名高いジーン・ケリーが務めました。

概要

本作は、当初、1949年に公開され成功を収めたミュージカル映画『踊る大紐育』の続編として構想されていました。しかし、MGMの製作責任者であったドア・シャリーが、『踊る大紐育』に出演していたフランク・シナトラとジュールス・マンシンの起用に対して難色を示したため、企画内容に変更が加えられました。物語の中心となる3人の登場人物は、前作の水兵から兵隊へと設定が変更され、主人公のジーン・ケリーはそのままに、シナトラとマンシンが演じた役柄は、新たにマイケル・キッドとダン・デイリーが演じることになりました。また、『踊る大紐育』で印象的な活躍を見せた3人娘に代わり、シド・チャリシーとドロレス・グレイが女性キャストとして出演しています。

公開された1955年当時、既にMGMミュージカル映画の隆盛期は過ぎ去っており、本作は前作『踊る大紐育』ほどの大きな評判を得るには至りませんでした。しかしながら、作品自体の完成度は高く、特に多くのダンスシーンは後のオムニバス映画『ザッツ・エンターテインメント』シリーズでも取り上げられるなど、その質の高さは広く認められています。特に有名なのは、ジーン・ケリーがローラースケートを履きながらニューヨークの街中で軽やかに歌い踊るシーンです。この印象的な場面は非常に高い評価を受け、リュック・ベッソン監督の映画『レオン』の中で、主人公であるジャン・レノが名画座でこのシーンを鑑賞している描写が登場するなど、後世の作品にも影響を与えています。

なお、2025年現在、日本国内においては本作のDVDやBlu-rayディスクの正規盤は発売されていません。

ストーリー

第二次世界大戦が終結し、軍務を終えたテッド、ダグ、そしてアンジーという3人の兵隊が、帰還船が到着したニューヨークの埠頭に降り立ちます。彼らは、ティム親爺が営む馴染みの酒場に立ち寄り、そこで固い友情の証として、10年後にこの同じ場所で再会することを誓い合い、それぞれの故郷へと旅立ちました。

そして約束から10年後の1955年、彼らは再びニューヨークで顔を合わせます。しかし、10年という歳月は、彼らの人生を大きく変えていました。テッドはボクシング選手のキッドの敏腕マネージャーとして成功を収め、ダグはテレビ局の重役という要職に就いていました。一方、アンジーは故郷に帰り、小さなハンバーガー店の温厚な亭主となっていました。再会を果たしたものの、あまりにも異なる道を歩んできた彼らは、互いの変化に戸惑い、どこかしっくりこない距離感を感じます。

その後、3人は一緒に食事をするためにレストランを訪れます。そこでテッドは、ジャッキーという魅力的な女性と出会います。ジャッキーは、人気テレビ番組「真夜中のマデリン」の演出家でした。テッドはジャッキーに誘われ、番組のリハーサルを見学しに行くことになります。番組内でジャッキーが担当するコーナーは視聴率が低迷しており、彼女は起死回生を狙っていました。そこで彼女は、再会したばかりのテッド、ダグ、アンジーの3人を番組に出演させるというアイデアを思いつき、彼らを巻き込もうと様々な画策を巡らせます。ダグは会社の重役という立場から番組出演に消極的でしたが、上司に説得されます。ジャッキーはテッドに、番組の人気出演者であるマデリンはアンジーにそれぞれ好意を寄せ、彼らを離そうとしません。

そしていよいよ生放送の番組がスタートします。しかし、番組の最中に予期せぬ事態が発生します。テッドが過去にボクシングの試合を巡ってトラブルになった相手であるチャーリーと、その一味がスタジオに乱入してきたのです。番組はたちまち大混乱、大乱闘となります。この絶体絶命の状況の中、テッド、ダグ、アンジーは、かつて戦場で共に困難を乗り越えた戦友時代の感覚を取り戻し、息の合ったチームワークでチャーリーたちを全員打ち倒します。

乱闘を鎮圧したことで、彼らの間に失われかけていた友情は再び強く結びつきます。テッドはジャッキーと心を通わせ、二人は結ばれることになります。全ての騒動が収まった後、3人は友情を再確認し、それぞれの人生へと再び帰路につくのでした。

スタッフ・キャスト

監督は主演のジーン・ケリーと、多くのミュージカル映画でタッグを組んだスタンリー・ドーネンが共同で務めました。製作はアーサー・フリード、原作・作詞・脚色はベティ・カムデンとアドルフ・グリーンが担当しています。音楽はアンドレ・プレヴィンが手掛けました。

主要キャストとして、テッド役をジーン・ケリーが演じ、ダグ役をダン・デイリー、アンジー役をマイケル・キッドが務めました。女性キャストとして、ジャッキー役でシド・チャリシー、マデリン役でドロレス・グレイが出演しています。

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