いなみ野ため池ミュージアム

いなみ野ため池ミュージアム：播磨の自然と文化が息づく場所

いなみ野ため池ミュージアムは、兵庫県東播磨地域に広がる約600ものため池群を、まるごと一つの博物館として捉えた、他に類を見ないユニークな取り組みです。日本全国に約21万箇所存在すると言われるため池のうち、兵庫県はその約5万箇所弱を擁し、全国で最もため池が多い県です。その中でも、特にため池が集中している東播磨地域一帯を、貴重な文化的・生態学的資源として保全・活用しようという試みが、いなみ野ため池ミュージアムなのです。

いなみ野ため池ミュージアム協議会

このミュージアムを運営・管理しているのが、いなみ野ため池ミュージアム協議会です。明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町といった、ため池が点在する地域が連携し、2007年3月25日に設立されました。協議会では、ため池の環境保全のための活動、親水イベントの開催、学術研究の支援など、多岐にわたる活動を展開しています。

ため池群と多様な選定

いなみ野ため池ミュージアムは、その価値が広く認められ、数々の選定を受けています。2010年3月25日には、農林水産省の「ため池百選」に選ばれたほか、文化庁の「文化的景観180選」、地球環境関西フォーラムの「関西自然に親しむ風景100選」、「疏水百選」にも選ばれています。さらに、「近代化産業遺産」にも認定されており、その歴史的・文化的価値の高さが証明されています。

主なため池

いなみ野ため池ミュージアムを構成する主なため池は以下の通りです。

明石市: 釜谷池、稲葉池、中笠池、岩蛇池、大池、皿池、新池
加古川市: 寺田池、駅ヶ池、野田池、峠の池
高砂市: 堂池、市ノ池、阿弥陀新池
稲美町: 天満大池、加古大池、琴池、跡池、溝ヶ沢池、内ヶ池、入ヶ池、和田新池
* 播磨町: 北池、秋ヶ池、大池、石ヶ池

これらのため池は、それぞれに独特の景観を持ち、地域の歴史や文化と深く結びついています。特に、寺田池（加古川市）と天満大池（稲美町）は「ため池百選」にも選ばれており、その美しい景観は訪れる人々を魅了します。

生物多様性の宝庫

東播磨地域のため池は、多様な生物が生息する貴重な生態系を育んでいます。カモやコハクチョウの越冬地となっているほか、ダルマガエル、カガブタ、車軸藻類、オニバスといった絶滅危惧種も生息しています。また、ため池の土手には、兵庫県の県花であるノジギクが自生している場所もあり、四季折々の自然を楽しむことができます。

いなみ野ため池ミュージアム協議会は、これらの貴重な自然環境を保全するため、自然形態の保護や研究活動に積極的に取り組んでいます。

いなみ野ため池ミュージアムは、単なるため池群ではなく、地域の歴史、文化、自然が織りなす、生きた博物館です。訪れる人々は、美しい景観を楽しみながら、ため池の役割や重要性を学ぶことができます。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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