寺田池

寺田池（てらだいけ）

寺田池は、兵庫県加古川市平岡町新在家にある農業用ため池です。2010年には農林水産省の「ため池百選」にも選定されました。

概要

寺田池は寛平5年（893年）に造営されました。築造当初は豊富な水量を誇っていましたが、上流域の開墾や周辺のため池造成により流入量が減少。万治元年（1658年）には、一級河川である加古川水系から疏水百選にも選ばれている寺田用水が開削されました。

明治36年（1903年）には堰堤の嵩上げ工事が行われましたが、昭和の中頃には一時的に枯渇。一部が兵庫大学の用地として造成されました。平成17年（2005年）から平成21年（2009年）にかけて再整備が行われ、現在は周辺の親水公園や灌漑に活用されています。

寺田用水と曇川

江戸時代、明石藩と姫路藩による新田開発が進められた結果、印南野南部では水不足が深刻化しました。寛文3年（1663年）には、曇川を水源とする寺田用水が完成し、この問題に対処しました。寛文12年（1672年）には寺田用水から分岐する高畑分水が開削され、下ノ池などが造られました。さらに延宝4年（1676年）には北野分水も引かれました。

しかし、曇川の上流で水源となる満溜池への給水は、寺田用水完成の前年に造られた千波池にも行われていたため、慢性的な水不足は解消されませんでした。延宝8年（1680年）には、加古大池に草谷川から加古大溝を引き込み、その流路を延宝4年（1676年）に完成していた満溜池に隣接する長府池まで延伸するなどの調整が続けられました。

明治時代に入り、綿花が重要な輸出品となると、綿花栽培が盛んになり再び水不足が発生しました。明治24年（1891年）には淡河疎水が引かれ、加古大溝・加古大池が淡河疎水加古支線の一部に組み込まれ、入ヶ池も淡河疎水天満支線となりました。これにより水量は安定しましたが、昭和に入ると農業の近代化・大規模化が進み取水量が増加し、再び水不足となりました。この問題は、平成3年（1991年）に完成した東播用水によって改善され、淡河疎水を経て曇川・寺田用水が潤されるようになりました。

自然と保全運動

平成15年（2003年）9月27日には、「寺田池協議会」と水棲生物や野鳥の観察会を行うボランティア団体「平岡・寺田池を語る会」が設立され、環境保全活動が行われています。

寺田池には、日本で減少傾向にあるガガブタをはじめ、冬季には渡り鳥の越冬地となるなど、多くの動植物が生息しています。

アクセス

道路:
兵庫県道383号八幡別府線 県立農業高校前
兵庫県道381号野谷平岡線 幸竹
公共交通機関:
山陽本線 東加古川駅

脚注・関連項目

加古川市
ため池百選
疏水百選
兵庫大学
ため池百選
東播用水
寺田池協議会オフィシャルサイト
* 寺田池・明神の森 - 見に来てや！東播磨 - 兵庫県東播磨県民局

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