いれずみ判官 (鶴田浩二)

いれずみ判官

「いれずみ判官」は、1965年に製作・公開された日本の時代劇映画で、鶴田浩二が主演を務め、沢島忠が監督を担当しました。この映画は、東映の人気シリーズ「遠山の金さん」をリメイクした作品であり、当初は続編を作る予定でしたが、実際には続編は製作されず、鶴田にとっての唯一の遠山景元の役となりました。

映画の背景

本作は、江戸幕府の悪事を追及する北町奉行・遠山金四郎を中心に展開されるスリリングな物語です。ただし、通常の「金さん」ものと異なり、お白洲での裁きの場面は存在しません。また、同時上映されたのは「忍法忠臣蔵」で、これも当時の興行の一環として重要でした。

ストーリー

物語は、まず体制保持のために、幕府では武士の入れ墨が禁じられていることを知らせる字幕から始まります。日光東照宮の改修工事に絡んだ入札競争の最中、南町奉行所の与力・梶川が転落死する事件が発生します。この事件は、汚職の疑惑を抱える北町奉行所に引き継がれ、遠山が検死を担当します。多忙であった遠山は、最初は自殺として処理しますが、贈収賄に関する疑念が解消されないため、調査を進めることにします。

遠山は近江屋に木場人足として雇われ、そこで怒り心頭に発する事件が発生します。近江屋が殺され、その場に居合わせた貧しいそば屋・幸吉が逮捕され、冤罪を訴えるも、即座に死刑判決が下されます。金さんは、真犯人を見つけるために捜査を続けますが、南町奉行・鳥居が背後で糸を引いていることが徐々に明らかになっていきます。

金さんは状況を打開しようとお藤に話を聞き、彼女の生活が変わった経緯に迫ります。お藤の生活ぶりや夫の贈賄の事実を明らかにする中で、金さんの身の危険も迫ってくるのです。彼は敵対勢力から狙われ、火事の中で生死をかけた脱出を果たします。

クライマックス

やがて、事件の真相が明らかになり、幸吉の無実を証明するために立ち上がる金さん。彼は水野忠邦への訴えを通じて、遠山金四郎の真実を暴露します。物語の最後には、登城する遠山が悪の一団に立ち向かい、幸吉の名誉を取り戻す姿が描かれます。

映画制作の背景

この映画の制作では、主に岡田茂が時代劇の復活を目指しており大川橋蔵のための企画が進められていたことが背景にあります。彼は過去の人気シリーズをリメイクすることが、低コストでの製作につながると判断し、鶴田浩二にバトンタッチする形で進められました。

片岡千恵蔵からの許可を得た後、制作チームは時代劇の革新を目指して取り組みましたが、結果的には興行的な成功には至らなかったと言われています。それでも、「いれずみ判官」は日本の映画史において重要な位置を占める作品として、多くのファンに愛され続けています。

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