いわき三和トンネル

いわき三和トンネル

福島県いわき市三和町に位置する国道49号のトンネルである、いわき三和トンネルについて解説します。

概要

起点: いわき市三和町渡戸
終点: いわき市三和町中寺
延長: 1.7km（うちトンネル部743m）
全幅: 12.5m（うちトンネル部11.25m）
最大勾配: 2.5%（トンネル部: 0.5%）
設計速度: 60km/h
* 開通: 2010年8月29日

歴史的背景

現在のいわき市三和町渡戸から三和町中寺にかけての道路は、江戸時代には三坂街道として知られていました。1923年に県道に指定されましたが、好間川沿いのカーブが多い線形や、沿線に家屋が密集しているため、道幅が狭いことが課題でした。

1958年に二級国道115号、1962年には一級国道49号に指定されたことで、道路の整備が進められることになりました。集落の北側の山腹を貫くトンネルが計画され、1962年9月に工事が開始、1964年6月に三和トンネルとして開通しました。このトンネルは全長250m、幅員7m、高さ5.8mで、トンネルの全長を短くするために山の斜面に建設されたため、東西両側合わせて1,495mの取り付け道路が必要でした。

1965年には三和町合戸から三和町下市萱までの舗装工事が完了し、その後、登坂車線や落石防護壁などの設置も行われました。しかし、トンネルの老朽化や断面の小ささ、取り付け道路の急勾配が問題視されるようになりました。

小名浜港や茨城県内の各港湾が国際貿易港として発展し、郡山市のJR東北本線郡山貨物ターミナル駅や東北自動車道へのコンテナ輸送が増加していました。しかし、三和トンネルの幅が狭いため、ISO規格の背高海上コンテナを運搬するトレーラートラックがトンネル内ですれ違うことができず、有料道路である磐越自動車道や、福島県道14号いわき石川線・国道118号を経由する迂回ルートが利用されていました。また、取り付け部分が約5.0％の急勾配で、日当たりが悪く、冬期には路面凍結によるスリップ事故が多発していました。

新トンネルの建設

これらの問題を解決するため、2004年度に従来の三和トンネルの南側に新たなトンネルを建設する事業が開始され、2007年度に工事が始まりました。当初は新三和トンネルという仮称でしたが、公募によりいわき三和トンネルと命名されました。

当初は2010年8月4日に供用開始の予定でしたが、関連工事で死亡事故が発生したため、原因究明と再発防止策の策定が必要となり、開通が延期されました。その後、2010年8月29日に開通しました。旧トンネルは現在閉鎖されており、通行はできません。

新しいトンネルの開通により、大型車両の通行が容易になり、冬期の交通の安全性も向上しました。

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