いわき号

概要

いわき号は、日本の首都圏である東京駅およびバスタ新宿と、福島県のいわき市・富岡町、茨城県北茨城市を結ぶ高速バス路線です。地域間輸送における重要な足として機能しています。かつては福島県南相馬市への系統も運行されていましたが、現在は運休中です。

運行会社

本路線は複数のバス事業者による共同運行体制をとっています。参画しているのは、ジェイアールバス関東（いわき支店、東京支店）、東武バスセントラル（足立営業事務所）、そして地元の新常磐交通（いわき中央営業所）の3社です。

現行の主な運行系統

現在、「いわき号」は主に以下の系統で運行されています。

いわき - 東京線
東京駅（八重洲南口・日本橋口）と、浅草駅、綾瀬駅を経由し、首都高速道路から常磐自動車道を利用して、茨城県北茨城市、福島県いわき市内のインターチェンジ（いわき勿来IC、いわき湯本IC）、バス停留所（いわき好間、いわき中央インターなど）、いわき駅を結びます。一部便はラパークいわきやJRバスいわき支店まで運行区間が延長されています。途中、友部サービスエリアで休憩時間を設けています。運行開始当初から存在する基幹系統です。

富岡 - 東京線
東京駅といわき駅などを経由し、さらにJヴィレッジ、道の駅ならは、富岡営業所を結ぶ系統です。常磐富岡IC発着での暫定運行を経て、ルート変更と停留所追加により本格運行となりました。新型コロナウイルス感染症の影響で一時運休しましたが、現在は運行を再開しています。この系統は新常磐交通が単独で運行しています。

運休中および廃止された系統

いわき - 新宿線（新宿いわき号）
バスタ新宿といわき駅、JRバスいわき支店を結んでいましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による運休を経て、2024年 7月1日のダイヤ改正をもって廃止されました。JRバス関東が運行を担当していました。

小名浜 - 東京線
東京駅と福島県いわき市小名浜地域（小名浜高速バスターミナルなど）を結ぶ系統です。いわき駅方面には立ち寄らないルートでした。東日本大震災後の運休を経てルートを変更して運行を再開しましたが、現在は新型コロナウイルス感染症の影響により再び運休となっています。

* 南相馬 - 東京線
東京駅と福島県の相双地区（広野町、富岡町、大熊町、浪江町、南相馬市）を結ぶ系統です。いわき駅方面を経由しないルートでした。東日本大震災以降運休が続いており、福島第一原子力発電所事故の影響もあり、運行再開の時期は未定となっています。

運行回数

2024年 7月1日現在の運行回数は、いわき - 東京線が毎日運行便17往復に加え、土曜・休日運行便が6往復設定されています。富岡 - 東京線は毎日1往復の運行です。東日本大震災発生前は、全系統合わせて1日最大39往復が運行されていました。

歴史

いわき号は、1988年 11月11日に東京駅 - 平駅（当時）間で運行を開始しました。当初は1日3往復でのスタートでした。運行開始当初からいわき勿来インター、いわき湯本インター、いわき好間などのインターチェンジ付近に停車し、特にいわき好間には大規模な駐車場が設置されました。

その後、利用者の増加に伴い、運行回数は段階的に増便されていきました。1990年代から2000年代にかけて、運行回数は着実に増加し、停車地の追加（浅草駅、綾瀬駅など）、延長運行（ラパークいわき、JRバスいわき支店）も実施されました。小名浜発着便は2006年に開設されています。

2009年には浪江発着便が南相馬市まで延長されましたが、2011年3月11日の東日本大震災により全系統が一時運休。同年3月18日には特別ダイヤで運行を再開しましたが、南相馬・小名浜系統は運休が長期化しました。

震災からの復旧・復興が進む中で、小名浜発着便は2018年にルートを変更して運行を再開（後に再運休）、富岡発着便は2019年に暫定運行を経て本格運行を開始しました。2017年にはバスタ新宿発着便も開設されました。

しかし、2020年からの新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの便が運休・減便となりました。以降、社会情勢に応じて運行回数の調整やダイヤ改正が行われました。バスタ新宿発着便は2020年に運休となり、2024年 7月に正式に廃止されています。

サービスの面では、リピーター向けのスタンプサービス「とくとくスタンプ24」が実施されていましたが、2021年に終了しました。座席予約システムも時代に合わせて変更されています。

車両

現在、「いわき号」には主に4列シートでトイレ付きのハイデッカー車両が使用されています。多客期には貸切用の車両が増発便として投入されることもあります。運行開始当初はスーパーハイデッカー車両も使用されており、車内サービスとしてお茶の提供があったという記録も残っています。

利用状況とパークアンドライド

いわき号の年間利用者数は、東日本大震災前まで増加傾向にありました。特に、いわき市をはじめとする浜通り地域は自家用車の普及率が高いため、高速バス利用促進策としてパークアンドライドが積極的に推進されました。運行開始当初からいわき好間に無料駐車場が設置され成功を収めましたが、利用者以外の駐車が問題となったため、駐車システムが導入され、現在はいわき好間やいわき中央インターなどに設置されています。2013年に停車を開始した北茨城ICにも利用者用駐車場が整備されています。

また、東武バスセントラルの参入に合わせて上り便が綾瀬駅に停車するようになったことは、首都高速道路の渋滞回避による定時性向上に貢献し、いわき号の利用を大きく促進する要因の一つになったと考えられています。現在、上り東京駅方面行きの便は綾瀬駅を出た後、渋滞を避けるために一般道を経由して浅草駅方面に向かうルートを取る便もあります。

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