いわさきちひろ

いわさきちひろの生涯と作品

いわさきちひろ（本名：松本知弘）は、1918年12月に福井県武生で生まれた日本の画家・絵本作家です。彼女の作品は子どもの幸福と平和をテーマにしており、特に水彩画で知られています。現代においても彼女の作品は多くの人に愛されていますが、その背後には彼女自身の波乱に満ちた生涯があります。

幼少期から青年期

岩崎家は当時としては裕福な家庭であり、彼女はその環境で少年少女向けの美術や文学に親しみました。幼少の頃から絵を描くことが得意であり、小学校の学芸会では即興で絵を描く席画で注目を浴びました。東京府立第六高等女学校（現在の東京都立三田高等学校）では彼女の才能が際立ち、絵の技術をさらに磨くことができました。母親は彼女の美術の才能を見抜き、岡田三郎助に師事させ、デッサンや油絵を学ばせました。

しかし、結婚を機に彼女の人生は大きく変わります。20歳の時に婿養子を迎えるが、精神的な苦痛に悩まされる日々が続きました。夫の自殺により早くも結婚生活は終わり、彼女は新たな道を模索することになります。

芸術活動の展開

帰国後、再び絵を描くことに挑戦し、中谷泰に師事します。1946年、彼女は日本共産党に入党し、その後、党の芸術学校で学びながら記者として活動を開始しました。この頃から彼女は紙芝居や絵本制作に携わり、1949年には紙芝居『お母さんの話』で文部大臣賞を受賞しています。この受賞を契機に彼女は画家として独立を果たします。

1949年に松本善明と出会い、結婚。彼女は画家としての仕事を続けながら、母としての生活も大切にしました。しかし、生活は厳しく、彼女は長男を両親のもとに預けることになります。それでも、彼女は片道10時間かけて子どもに会いに行くなど、母としての情熱を持っていました。

童画家としての活動

1950年代に入り、ちひろは水彩画に専念します。彼女の絵本『ひとりでできるよ』など、数々の作品を手がけ、特に子ども向けの絵本に特化しました。彼女の作品には、かわいらしさや温かみがあり、多数のファンを持っています。1963年には雑誌『子どものしあわせ』の表紙絵を担当し、それが彼女の作風に大きな影響を与えました。

日本共産党との関係

あらゆる困難の中で、ちひろは政治活動に積極的に関与しました。特に夫の松本善明が衆議院議員として活動していることもあり、彼女もそのサポートをしていました。このような活動を通じて、彼女は国際的な視野とヒューマニズムの意識を高めました。

終焉とその影響

1974年、ちひろは肝臓癌を患い、56歳でこの世を去ります。彼女の死後、夫と息子は、ちひろの作品を広く伝えるために美術館を開館しました。また、彼女の作品は後世の絵本作家たちや子どもたちに影響を与え続けています。

没後の評価

ちひろの絵はる日本の童画における金字塔となり、彼女自身が生涯描き続けた「子どもたちの幸せ」の思想は、未だに多くの人々に感動を与えています。教育や福祉の現場でも、ちひろの作品は広く用いられています。彼女の人生と作品は、子どもを愛し、平和を願うすべての人々にとってのロールモデルとなっているでしょう。

もう一度検索