岡田三郎助

岡田 三郎助について

岡田三郎助（おかだ さぶろうすけ、旧姓：石尾）は、1869年に佐賀県で生まれた日本の洋画家であり、版画家としても知られています。彼は主に女性像を描く作品で名を馳せ、日本的感覚を表現した洋画の分野で多くの素晴らしい作品を残しました。また、彼の作品の約半分は風景画であることも特筆すべき点です。生涯を通じて彼は第1回文化勲章を受章し、東京美術学校の教授として後進を指導しました。彼の作品は、今なお多くの美術館で見ることができます。

経歴と成長

岡田は、1869年に肥前佐賀藩の士族・石尾家に生まれました。幼少期から絵画に興味を示し、1887年には岡田政蔵の養子となり、家督を相続します。その後、二松学舎や成立学舎、東洋英和学校で学んだ後、洋画家・曽山幸彦の画塾で学び始めました。曽山の死後は、堀江正章に師事し、洋画の技術を磨きました。

1892年には、大幸館に入学し、洋風絵画に特化した学びを続け、1893年に卒業作品『矢調べ』を完成させました。1894年には久米桂一郎の紹介で黒田清輝と出会い、その後の1896年には白馬会の創立にも参加します。1897年には第1回の文部省留学生としてフランスに渡り、ラファエル・コランに師事。また、1902年には帰国し、東京美術学校の教授に任命されました。

私生活では、1906年に小山内八千代と結婚し、彼女は後に小説家や劇作家として成功を収めます。1907年には東京勧業博覧会で『婦人像（某婦人の肖像）』が1等賞を受賞し、同年には文展の審査員にも選ばれています。1912年には藤島武二とともに本郷洋画研究所を設立、また1913年には佐賀美術協会を創設し、地元美術界の発展に貢献しました。

芸術への情熱

岡田は、1930年に文部省から欧州出張を命じられ、ヨーロッパでの芸術交流を深めます。帰国後も精力的に活動し、特に1933年に訪れた北信濃では、桃の花が咲き誇るこの地を「丹霞郷」と名付け、その美しさを絵画に収めました。しかし、1936年には聖徳記念絵画館に納める作品の制作に取り組む中で、精神的かつ体力的な消耗を強いられる事態に直面します。

彼は1939年、肺炎により病床に伏せている中で文化勲章受賞の知らせを受けました。彼の死去は同年の9月23日でした。その後も岡田三郎助遺作展が開催されるなど、彼の作品は多くの人々に賞賛され続けています。

人物と美術活動

岡田の性格は外柔内剛で、温厚でありながらも頑固な一面も持っていました。彼の温和な人柄は多くの友人や門弟に慕われ、また彼自身も当時の洋画家にしては特異な存在として、和服を美しく着こなすスタイルを持っていました。アトリエは佐賀県に移築されたものの、東京で長い間活動をしていました。

工芸品や染色工芸に対する情熱も強く、著書として『工芸美術及室内装飾』を残し、多くの美術工芸品展を開催。彼のコレクションには約900点の衣装が含まれており、これは松坂屋に一括で売却されました。岡田三郎助の存在は、美術界において今なおその影響を残しており、様々な展覧会を通じて彼の作品や影響を受けた後進たちが伝えています。

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