いわしの交流センター

いわしの交流センター

千葉県山武郡九十九里町にある「いわしの交流センター」は、博物館、農水産物直売所、飲食店で構成される複合施設です。愛称は「海の駅 九十九里」として親しまれていますが、国土交通省が登録する「海の駅」とは異なります。

概要

九十九里町が地場産業の活性化と都市・農村漁村交流の拠点として設置した施設で、九十九里町商工会が運営を行っています。片貝漁港の近く、約6359平方メートルの敷地に、鉄骨2階建て、延床面積約1057平方メートルの建物があります。総工費は約3億4200万円です。

1階には、イワシ漁に関する資料を展示する「いわし資料館」と、地元産の農水産物を販売する直売所「直売コーナー」があり、72の店舗が出店しています。2階には、地元食材を使った料理を提供する飲食店「食体験コーナー」と、海を眺められるデッキがあります。屋外には大漁旗が掲げられています。

また、敷地内には高さ17メートルの津波避難タワーがあり、約150人が避難できるスペースが確保されています。

整備

2004年をピークに観光客数が減少した九十九里町は、2011年に策定した「第4次九十九里町総合計画」で、片貝漁港の後背地を活用した「観光交流との連携」「地産地消の推進」「体験交流型観光の推進」を打ち出しました。

2011年には、地元の経済産業団体が施設建設の要望書を町に提出。その後、「（仮称）いわしの交流センター ワークショップ」や「（仮称）いわしの交流センター建設推進委員会」が設置され、地元関係者による意見交換が行われました。

当初、2004年の天然ガス爆発事故で休館となった九十九里町立九十九里いわし博物館を移転・再建する施設と商業施設を別々の建物として建設する計画でしたが、相乗効果を高めるため、最終的には同じ建物に統合する設計に変更されました。

町は国有地であった漁港後背地の取得費用を計上し、2013年には基本設計の最終案を決定しました。当初の計画では、建物の延床面積を約1348平方メートルとしていましたが、労務単価の高騰により建設費が予定を大幅に超過することが判明しました。そのため、建物の規模を縮小し、延床面積を約948平方メートルに変更。開業時期も2014年7月から2015年3月末に延期されました。

建物は、株式会社榎本建築設計事務所が設計、株式会社畔蒜工務店が施工を担当しました。2014年4月には起工式が行われ、工事の安全と町の発展を祈願しました。

施設の愛称は公募で決定し、全国から寄せられた192点の応募の中から「海の駅 九十九里」が最優秀賞に選ばれました。

2015年4月24日、「いわしの交流センター」は正式に開業しました。

いわしの交流センター展示室

「いわしの交流センター展示室」は、センター内にある博物館で、通称「いわし資料館」と呼ばれています。九十九里町が、郷土史の学習推進と文化の発信・継承を目的に設置した施設です。

以前、町はイワシ漁で栄え、漁獲されたイワシは肥料などに加工され、出荷されていました。展示室では、当時の漁具、漁船の模型、加工道具、漁民の生活用具などを展示し、イワシ漁の歴史と文化を伝えています。また、約3000匹のマイワシが回遊する水槽が設置されています。

この水槽について、2023年には動物愛護団体から「過密飼育で不適切」との指摘があり、九十九里町は水槽の設置を取りやめ、映像による代替展示を検討しています。

脚注

関連情報: 九十九里町立 九十九里いわし博物館
外部リンク: 海の駅九十九里

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