うつぼづけ

空穂づけ（うつぼづけ）

空穂づけとは、大相撲における珍しい決まり手の一つです。相手を豪快に投げ飛ばす腰投げの体勢から、さらに相手の体を自分の腰に乗せ、逆立ちのような状態にする技を指します。

概要

具体的には、まず下手（相手の体の内側から差し入れる腕）から相手の体を自分の腰に乗せるように打ちます。通常の腰投げであれば、ここで相手を土俵に叩きつけるのですが、空穂づけの場合は、さらに体勢を深く沈み込ませ、相手の両足を自分の腰から背中に向かって逆立ちさせるようにします。この状態が、まるで矢を入れる道具である「空穂」を背負っているように見えることから、「空穂づけ」という名前が付けられました。

ただし、空穂づけは、日本相撲協会が公式に定めている82手（非技を含めると87手）の決まり手には含まれていません。そのため、実況などでは「腰投げ」や「大腰」として扱われることが多いようです。しかし、その独特な体勢から、相撲ファンからは「空穂づけ」として区別され、語り継がれています。

決まり手の分類

空穂づけは、腰投げの一種とみなされます。腰投げは、相手の腰に手を当て、自分の腰を支点にして相手を投げる技の総称です。空穂づけの場合、通常の腰投げよりもさらに深く相手を抱え込み、逆立ちのような体勢にする点が特徴です。

幻の技

空穂づけは、非常に豪快な技ですが、高度な技術と体力を要するため、決まることは稀です。近年では、プロの取組はおろかアマチュア相撲でもほとんど見ることがありません。そのため、「幻の技」と呼ばれることもあります。

過去の事例

過去には、1971年1月場所13日目の三段目の取組で、西三段目79枚目の重乃湖が西序二段46枚目の玉泉に対して、この技を仕掛け勝利した記録が残っています。

関連項目

相撲
大相撲の決まり手一覧

参考文献

* 三宅充著『大相撲なんでも七傑事典』講談社+α文庫、1995年。

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