ええじゃないか (映画)

映画『ええじゃないか』の概要と詳細

『ええじゃないか』は1981年に公開された日本映画で、製作を松竹が手がけました。この作品は、幕末時代の民衆運動「世直し一揆」と「ええじゃないか」をテーマにしています。監督は今村昌平で、彼にとって初めての時代劇という試みでもあります。

物語の概要

物語は慶応2年（1866年）の夏から始まります。主人公の源次は、上野国出身の農民です。アメリカの商船で働いていたかつての生活を経て、故郷に帰ることを決意します。彼は密航の危険を冒しながらも、日本に戻った後、故郷の村で起こる出来事に巻き込まれていきます。

源次は、アメリカでの生活を経て英語を堪能に学びますが、故郷での生活には様々な困難が待ち受けています。源次は自由を求め、妻イネを探しに江戸へ向かいますが、彼女の人気芸人としての新たな生活に直面し、戸惑いと愛情の間で葛藤します。

主要キャラクター

• - 源次: 主人公で、上州出身の元農民。アメリカでの生活を経て故郷に帰るが、差別や葛藤に直面。英語が堪能で、幕府への武器交渉にも関わる。最終的には「ええじゃないか」の扇動役として幕府軍に撃たれる。
• - イネ: 源次の妻であり、故郷で源次の帰りを待っていましたが、様々な事情で江戸に身を置くことになります。彼女は、源次の帰郷後も新たな生活を拒み、独自の道を探る。
• - イトマン: 琉球出身の漁民で源次の友人。家族を皆殺しにした仇に対して復讐を誓い、源次と共に江戸に残る。

物語は様々な人々の因果が交錯する中で進行し、源次とイネの関係がどのように変化していくのかが描かれています。二人は再会しながらも、それぞれの運命に翻弄されていく。特に、イネが江戸での新しい生活に関わる中で、大きな試練が訪れます。

社会背景とテーマ

映画は幕末の日本を舞台にしており、社会の混乱や人々の抑圧された気持ちが反映されています。「ええじゃないか」とは、人々が自由を求め、暴動に近い形で自らの意思を表現する様子を示しており、その中での迷いや苦しみを描いています。特に源次の闘争が、当時の社会における不満の象徴として描き出されています。

映画の評価

『ええじゃないか』の製作には大規模な予算が投入され、東京都や埼玉県の境に広がる水元公園にオープンセットが作られるなど、意欲的な試みがなされました。しかし、興行成績は期待には見合わず、特に日本国内では振るわなかったとされています。それでも、フランスでは高い評価を受け、今村監督の意図した民衆の解放を訴える力強いメッセージが伝わり、一定の評価を得ていました。

結論

この映画は、幕末の民衆の声を描き出し、現代に通じるテーマを多く含んでいます。源次とイネの物語を通じて、愛と自由への欲求がどのように交錯するのかが巧みに描かれており、時代背景を理解する上でも重要な作品といえるでしょう。

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