おいらんガール

『おいらんガール』作品解説

『おいらんガール』は、響ワタルによる日本の漫画作品で、白泉社の少女漫画雑誌「LaLa」にて2010年から2013年にかけて不定期連載されました。江戸時代の吉原を舞台に、花魁（おいらん）を題材にした物語で、コメディタッチでありながらもアクションシーンが盛り込まれているのが特徴です。個性的なキャラクターたちが繰り広げる人間ドラマと、花魁の世界を生きる女性たちの葛藤や成長が描かれています。

あらすじ

物語の舞台は江戸吉原。主人公は、花魁を目指す新造の椿です。彼女は元々大店の令嬢でしたが、火事で家が没落し、借金のために吉原に売られてきました。ガサツながらも明るく前向きな性格で、持ち前の器量の良さで花魁を目指します。目標は、姉女郎である鷹尾花魁を超えること。しかし、彼女には過去に傷つけられた初恋の相手、真がいました。その真こそが、実は鷹尾花魁であることを知り、椿の感情は複雑に揺れ動きます。

一方、鷹尾花魁は、実は男であり、その正体を隠して吉原で生きています。彼女（彼）は、かつて恩人の仇を討つために吉原に来たという過去を持ち、気位が高く厳しいながらも、椿を密かに見守っています。普段は「鷹尾」として花魁の顔を使い、時折「真」として椿の前に現れることで、物語に複雑な要素を加えています。

物語は、椿と鷹尾の関係を軸に、吉原で生きる人々の人間模様を描きながら展開していきます。恋愛感情、復讐心、友情など、様々な感情が交錯する中で、椿は花魁として成長していきます。

登場人物

椿:
江戸吉原「美浦屋」の振袖新造。ガサツな性格だが、器量よしでポジティブ。姉女郎の鷹尾花魁を超えることを目標にしている。元は大店の令嬢だったが、火事で借金を背負い、吉原に売られた。初恋の相手である奉公人・真に傷つけられた過去を持ち、復讐を誓うが、その真が鷹尾であることを知り、恋心を抱くようになる。

鷹尾（真）:
椿の姉女郎で、「美浦屋」の昼三の花魁。実は男で、客に枕を許さない。恩人の仇を討つため吉原にいる。かなりの美人で頭も良く、気位が高い。普段は「鷹尾」として花魁の顔を使い、時折「真」として椿を見守る。

銀月:
吉原同心。チャラいが凄腕。情報網が広く、鷹尾とは昔からの知り合い。先代・鷹尾の弟。

黒田擊:
武家の息子で、浅葱裏と呼ばれる。純朴で真っ直ぐな好青年。椿のことを気に入っている。

書誌情報

響ワタル『おいらんガール』白泉社〈花とゆめコミックス〉、全4巻。

1巻: 2010年12月29日初版発行、ISBN 978-4-59-219306-7
2巻: 2011年11月05日初版発行、ISBN 978-4-59-219307-4
3巻: 2012年05月02日初版発行、ISBN 978-4-59-219308-1
4巻: 2012年12月05日初版発行、ISBN 978-4-59-219309-8 - 読み切り「銀狼の櫻」を収録。

『おいらんガール』は、花魁という華やかな世界を舞台に、そこで生きる人々の葛藤や成長を描いた作品です。コメディ要素とシリアスな展開がバランス良く組み合わされており、読者を飽きさせない魅力があります。特に、主人公の椿と鷹尾の複雑な関係性は、物語の大きな見どころとなっています。

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