おうふう

株式会社おうふうについて

株式会社おうふうは、かつて東京都千代田区に存在した学術出版社です。この出版社は、特に国語学や国文学に関する書籍を発表しており、学問の発展に寄与しました。おうふうという社名は、以前の社名である桜楓社から改名されたもので、日本大学の国文学者鈴木知太郎氏が桜楓社という名前を提案したことでも知られています。

創業の背景

おうふうの起源は南雲堂にさかのぼり、創業者の及川篤二氏が中心となって発展しました。及川氏は國學院大學の出身で、学生時代には南雲堂桜楓社として活動を始め、後に1956年9月18日に正式に桜楓社として独立しました。この時期、同社は学者たちの研究成果を広く世に問うことに重きを置き、特に中西進氏の『万葉集の比較文学的研究』の刊行は重要な出来事でした。この著作は1970年に学士院賞を受賞するなど、多くの学問的評価を得ました。

また、及川氏の助言を受けて書かれた単著も多く、これによって多くの学者たちが評価を受ける結果となりました。桜楓社からは、双文社やひつじ書房、翰林書房、白帝社など、独立した出版社も生まれています。1993年にはおうふうに改組されました。

経営の変遷と廃業

しかし、2020年に入ると、国内出版業界全体が厳しい状況に直面しました。2020年2月末には書籍取次店を通じて廃業の情報が流れ、その後3月5日には廃業が確認され、3月18日には東京地方裁判所から破産手続開始の決定を受けました。負債総額は約4億7000万円にも上るとされ、この年の3月12日には法人としての地位も消滅しました。

主な出版物

おうふうは多くの著作や辞典を発行しており、学術界から高く評価されていました。主な出版物には、以下のような著作集が含まれます。

• - 松前健著作集（全12巻・別巻1）
• - 青木生子著作集（全12巻）
• - 吉田精一著作集（全25巻・別巻2）
• - 櫻井満著作集（全10巻・別巻1）
• - 菅野雅雄著作集（全6巻・別冊1）

さらに、辞典・事典として:

• - 『日本民俗語大辞典』
• - 『和歌文学辞典』
• - 『古事記事典』
• - 『上代文学研究事典』
• - 『近代作家研究事典』
• - 『都道府県別祭礼行事』全47巻
• - 『都道府県別祭礼事典』全47巻

その他にも、源氏物語に関する研究書や、近世文学に関する作品が数多く刊行されていました。おうふうは日本の学術出版界において、その独自の立ち位置を築いていましたが、残念ながら2021年に法人格が消滅する結果となりました。

まとめ

おうふうの歴史は、学問と出版が密接に結びついていたことを示しています。学術書の創出を通じて、多くの知識と文化を後世に伝える役割を果たしてきました。法人の消滅は残念ですが、彼らの業績が日本の学問において果たした役割は、今後も引き続き評価されていくことでしょう。

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