おかあさん (映画)

『おかあさん』は、1952年に新東宝が製作・配給したモノクロの日本映画です。監督は成瀬巳喜男、脚本は水木洋子が担当し、全国児童綴方集を原作としています。

物語は、福原家という家族を中心に展開します。田中絹代が演じる福原正子は、家族を支える母親としての役割を担い、その愛情深さと苦悩が描かれます。香川京子が演じる長女の福原年子は、母親との関係に葛藤を抱えながらも成長していく姿が印象的です。三島雅夫が演じる夫の福原良作は、家族を大切に思う一方で、仕事との両立に悩む姿が描かれています。

物語は、家族それぞれの視点から描かれており、それぞれの抱える悩みや喜びが繊細に表現されています。家族の絆、親子の愛情、そしてそれぞれの成長が、観る者の心に深く響きます。登場人物たちの細やかな感情の変化が、観る者を物語の世界へと引き込みます。

映画には、中北千枝子、榎並啓子、片山明彦、岡田英次、加東大介など、実力派俳優たちが多数出演しています。彼らの演技が、物語に深みを与え、観る者を魅了します。特に、加東大介は、本作での演技で数々の賞を受賞しており、彼の演技力は高く評価されています。

音楽は斎藤一郎が担当し、映画の雰囲気を一層引き立てています。撮影は鈴木博、美術は加藤雅俊、録音は中井喜八郎、照明は佐藤快哉、編集は笠間秀敏がそれぞれ担当し、作品のクオリティを高めています。チーフ助監督は石井輝男が務め、監督の成瀬巳喜男を支えました。

『おかあさん』は、公開当時から高い評価を受け、数々の映画賞を受賞しました。特に、第7回毎日映画コンクールでは、加東大介が男優助演賞を受賞し、第3回ブルーリボン賞では、成瀬巳喜男が監督賞、加東大介が助演男優賞、永島一朗が企画賞を受賞しています。これらの受賞歴からも、作品の質の高さが伺えます。

この映画は、家族という普遍的なテーマを扱いながら、人間の繊細な感情を丁寧に描き出した作品として、今もなお多くの人々に愛されています。成瀬巳喜男監督の演出力、俳優たちの演技、そして物語の深さが、観る者の心に深く刻まれるでしょう。

この映画は、単なる家族ドラマではなく、人間関係の複雑さ、愛情の深さ、そして成長の過程を繊細に描いた作品です。観る人それぞれが、自身の家族や人生を振り返り、何かを感じることができるでしょう。映画を通して、家族とは何か、人間とは何かを深く考えさせられる名作です。

主なキャストは以下の通りです。

福原正子：田中絹代
福原年子：香川京子
福原良作：三島雅夫
栗原則子：中北千枝子
福原久子：榎並啓子
福原進：片山明彦
平井信二郎：岡田英次
木村庄吉：加東大介

その他にも、鳥羽陽之助、三好栄子、一の宮あつ子、中村是好、本間文子、沢村貞子、永井柳太郎、伊東隆など、多くの俳優が出演しています。

受賞歴

1952年 第7回毎日映画コンクール
俳優部門 男優助演賞：加東大介
1952年 第3回ブルーリボン賞
監督賞：成瀬巳喜男
助演男優賞：加東大介
企画賞：永島一朗

外部リンク

おかあさん - 日本映画データベース
おかあさん - allcinema
* おかあさん - KINENOTE

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