中村是好

中村 是好 (なかむら ぜこう)

中村是好（1900年12月6日 - 1989年12月6日）は、日本の俳優であり、盆栽家としても名を馳せた存在です。本名は中村愚堂で、愛称には「ゼコやん」があります。彼は舞台と映画の両方で多様なキャラクターを演じ、一体感のある演技で多くのファンを魅了しました。

来歴

中村は佐賀県杵島郡朝日村に誕生し、11歳で得度を受けたことから、禅僧としての一面も持っていました。彼は1919年に京都の大徳寺に入学し、演技者としての道を歩み始めます。1921年には新派の伊東好郎の門下に入り、以後、道頓堀や劇場などでさまざまな活動を行いました。

1929年に榎本健一が創設したカジノ・フォーリーに参加し、エノケン一座の中堅として非常に重要な役割を担うようになります。エノケン主演の多くの映画に出演し、主に三枚目役でダイナミックなキャラクターを作り上げました。彼の演技は、鈍くささやユーモアを表現し、観客に笑いを届けるものでした。

映画活動

中村の映画デビューは1934年で、以後も多くの作品に出演しました。特にエノケンの映画シリーズでは、彼の役柄が特に評価され、戦後も軽妙な演技を続けました。1947年には黒澤明監督の『素晴らしき日曜日』に出演し、以降はフリーな立場で数多くの映画を展開しました。「おかあさん」や「煙突の見える場所」など、成瀬巳喜男監督や五所平之助監督との作品でシリアスな演技も披露しました。

1972年には映画『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』に出演し、映画界からしばし活動を停止しました。彼は晩年まで盆栽家としても活動し、1962年には初めての著書『豆盆栽愛好』を発表しました。盆栽家としての彼は、1963年に設立された東京アマチュア小品盆栽愛好会で副会長を経て、1969年には会長に就任しました。

盆栽活動

中村は盆栽に対しても深い情熱を持ち、数冊の盆栽関連書籍を執筆しました。毎年、盆栽愛好者との交流を深めるために様々なイベントにも参加し、その技術と知識を広めました。彼の代表的著作である『小品盆栽』や『小もの盆栽』は、多くの愛好者に支持されています。

彼は1989年、89歳の誕生日に老衰により東京女子医大附属第二病院で亡くなりました。その死後、春の叙勲が贈呈されるなど、多くの人々に長年にわたり愛され続けた人物でした。人生の最後まで、彼は情熱を持って盆栽に向き合い、同時に俳優としても新たな挑戦を続けていたのです。

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