おがくず

おがくずとは

おがくずは、木材を鋸（のこぎり）などで加工する際に生じる、非常に細かい木屑のことを指します。特に、丸太から板を切り出す大型の鋸である大鋸（おが）を使うと大量に発生します。製材所では、製材される木材の約7%がおがくずになると言われており、その発生量は非常に多いです。ちなみに、鉋（かんな）で木材を削った際に生じる屑は鉋屑（かんなクズ）と呼ばれ、おがくずとは区別されます。

歴史的な利用と変化

高度経済成長期には、おがくずを固形燃料であるオガライトに加工することで一定の需要がありました。しかし、エネルギー源が石油やガスへと移行するにつれてオガライトの需要は激減し、おがくずの多くは焼却処分せざるを得ない状況が続きました。近年では、環境保護に関する法令が強化されたため、おがくずの適切な処分方法や、新たな利用方法が重要な課題となっています。

おがくずの多様な用途

おがくずは、その特性から多岐にわたる用途で利用されています。

燃料としての利用
固形燃料のオガライトは、かつて風呂などの燃料として広く使われていました。しかし、家庭用ガスや灯油の普及により需要は大きく減少しました。近年では、オガライトを炭化したオガ炭が、炭火焼きを売りにする飲食店で再び注目を集めています。しかし、製造コストの問題から多くが海外からの輸入に頼っており、国産のオガ炭は高品質ながら流通量が少ないのが現状です。
その他
酵素浴: おがくずの中に体を埋めて温める酵素浴にも使われています。
昆虫飼育: クワガタムシなどの甲虫類の飼育に使用されます。ただし、カブトムシの幼虫は腐植土を食べるため、製材所から出たばかりのおがくずは適しません。
キノコ栽培: エノキタケ、ナメコ、シイタケなどのキノコ栽培の培地としても使用されています。大手メーカーでは、品質を安定させるために特定の樹種を丸ごと粉砕し、おがくずとして利用している場合が多いです。
水産物出荷: おがくずは湿度を保つ性質があるため、エビやカニなどの水産物を一時的に保管し出荷する際に用いられています。
畜産・ペット: ペレット化されたおがくずは、畜産動物やペットの敷材として使われています。
梱包材: 緩衝材として使われることもありますが、化学薬品との接触で発火の危険性があるため、注意が必要です。
清掃: 鉄道の駅では、嘔吐物の処理に用いられています。おがくずが水分を吸収し、処理を容易にするためです。
バイオトイレ: 水洗トイレが設置困難な場所で使用されるバイオトイレでは、排泄物の処理に使われています。おがくずと混ぜて撹拌し、残渣は堆肥としても利用可能です。
特撮: 昭和の特撮映画では、怪獣の着ぐるみの造形素材としても使用されました。おがくずをラテックスに混ぜて表面に塗ることで、イガイガとした質感を出しています。

おがくずの課題と未来

おがくずは、その多用途性から様々な分野で活用されていますが、依然として多くの課題も抱えています。大量に発生するため、適切な処理方法やリサイクル技術の確立が求められています。今後、おがくずの新たな利用方法の開発が進むことで、より持続可能な資源として活用されることが期待されます。

関連用語

産業廃棄物：おがくずは産業廃棄物として扱われる場合があります。
キノコ：おがくずはキノコ栽培の培地として重要です。
菌床栽培：おがくずを利用したキノコ栽培方法です。
リサイクル：おがくずの再利用は重要なテーマです。
パーティクルボード：おがくずを原料とした建材です。
木質ペレット：おがくずを圧縮成形した燃料です。
オガライト：おがくずを固形化した燃料です。
カブトムシ、クワガタムシ、甲虫類：おがくずはこれらの昆虫の飼育に使われます。

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