ラテックス

ラテックスについて

ラテックス（英: latex）は、水中で固体の重合体微粒子が安定して分散した液体であり、自然界に存在する乳状の樹液や特定の界面活性剤を用いて乳化したモノマーが重合されたものを指します。この液体は多くの植物から得られ、その大部分は白色ですが、時には黄色やオレンジ色、緋色などのバリエーションもあります。一般的には、ゴムノキから採取される乳液が代表的な存在として知られています。

由来

ラテックスを生成する細胞は「乳液系」（英: laticiferous system）と呼ばれ、主に二種類の形式があります。一つは、茎や根の成長点に列を成している細胞から構成される形態で、乳管と呼ばれる連続した管状の構造を形成しています。このタイプはケシ科やゴムノキ、そしてタンポポ属の植物に見られます。もう一つの形態は、トウワタ属（学名: Asclepias）のように、植物が成長する際に乳細胞が早期に分化し、成長に伴ってその組織全体に広がります。これにより、ラテックスは植物の根、導管、葉、時には果実に至るまで広がるのです。

機能と利用

ラテックスは植物に多様な機能を持ちます。栄養素を貯蔵する役割や、老廃物を排出する機能があると考えられており、また植物が損傷を受けた場合には固化して菌類や微生物の侵入を防ぐ役割も持っています。そのため、ラテックスは植物にとって組織を保護する重要な成分であると見られています。さらに、いくつかの植物は非常に苦いまたは有毒なラテックスを分泌し、草食動物から身を守る手段としても機能しています。

ラテックスは、服飾、塗料など幅広い用途に利用されていますが、特にゴムの製造が重要な利用法として知られています。また、チューイングガムの原料として用いられるチクルも、ラテックスから得られます。塗料としては、合成ラテックスが結合剤として使用され、可燃性や悪臭を持たず、乾燥した塗面を提供します。さらに、ケシのラテックスはアヘンの原料にもなります。

ラテックスとアレルギー

ラテックスはアレルゲンとしての側面も持ち、重度のラテックスアレルギーを持つ人々は、ラテックス製品に触れることによりアナフィラキシーという重篤なアレルギー反応を引き起こすおそれがあります。ラテックスにはバナナやアボカド、クリに含まれるのと同じタンパク質が含まれているため、これらにアレルギー反応を示すこともあります。このような反応をラテックス・フルーツ症候群と呼びます。代替品としては、アメリカ合衆国およびメキシコで生産されるグアユールのラテックスが、アレルギー反応を引き起こしにくいため、注目されています。また、二分脊椎症の患者は幼少期から医療用具に触れることが多く、ラテックスアレルギーのリスクが高まります。

タンポポからの精製

第二次世界大戦中、ナチスドイツはタンポポから工業生産しようとしましたが、これは失敗に終わりました。現在、21世紀のドイツにおいても、タンポポを用いた工業的なラテックス生産方法を模索している研究が続いています。この研究では、ロシアタンポポから得られる成分に注目し、様々な技術を駆使してラテックス生産を試み、輸入依存の改善を目指しています。

代表的なラテックスを含む木材

• - マニルカラ属（学名: Manilkara）

- バラタ（Manilkara bidentata）
- マサランデューバ（Manilkara huberi）

• - パラクイウム属（学名: Palaquium）

- グッタペルカ


これらの植物から得られるラテックスは、商業的にも重要な役割を果たしています。

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