おしゃれ泥棒2

『おしゃれ泥棒2』（原題：Love Among Thieves）は、1987年にアメリカABCテレビで放映されたテレビ映画です。ロマンティックサスペンスコメディとして、オードリー・ヘプバーンとロバート・ワグナーが主演を務めました。本作は、オードリー・ヘプバーンにとって最後の主演作品となり、映画『おしゃれ泥棒』とは直接的な関連はありません。衣装はユベール・ド・ジバンシィが担当しました。

あらすじ

物語は、高名なピアニストであるバロネス・キャロライン・デュラック（オードリー・ヘプバーン）を中心に展開します。彼女の婚約者が誘拐され、その命と引き換えに「ファバージュの卵」という秘宝を盗み出すよう要求されます。キャロラインは、秘宝をラテンアメリカの犯人に渡すため旅に出ますが、道中、ひょんなことからマイク（ロバート・ワグナー）という冗談好きで葉巻を愛煙する男と行動を共にすることになります。二人は追っ手をかわしながら、犯人のもとへ向かうことになります。

キャスト

キャロライン・デュラック：オードリー・ヘプバーン
マイク・チェンバース：ロバート・ワグナー
スパイサー：ジェリー・オーバック
アラン・チャニング：パトリック・ボーショー
ソランジュ・デュラック：サマンサ・エッガー
アンドレ：ブライオン・ジェームス
イアン：クリストファー・ネーム
メイゾ：イスマエル・“イースト”・カルロ
飛行場の事務員：アルマ・ベルターン
ホテルの事務員：ジョン・チャンドラー

製作

オードリー・ヘプバーンは、ロバート・ワグナーとステファニー・パワーズが主演したテレビドラマ『探偵ハート&ハート』の大ファンで、欠かさず視聴していたそうです。また、ヘプバーンとワグナーは、グシュタードの別荘で隣人同士だったこともあり、友人としても俳優としてもワグナーに好感を持っていました。そのため、1986年に『おしゃれ泥棒2』の出演依頼があり、ワグナーとの共演が実現した際には、すぐに快諾したと伝えられています。

ロバート・ワグナーは、ヘプバーンが共演を望んでいると聞いた時、「私はとても嬉しかった。脚本を読んですぐにこう言った『どこにメーキャップに行けばいいか教えてくれ。さっそく始めようじゃないか』。オードリーとの共演は私の生涯のハイライトだった。」と述べています。

撮影は、サンフランシスコやコロラド、そして気温が40℃にもなるトゥーソンで行われました。トゥーソンでの撮影について、ヘプバーンは「（役柄上）ドレスは一着しかないので、私はあまりエレガントではなかった。」と語っていますが、ワグナーは「オードリーは文句なしに素晴らしかった」と称賛しています。また、ワグナーはサンフランシスコでのフィナーレの撮影時、100人のエキストラがヘプバーンの登場に3分間拍手を送ったエピソードを語っています。

ヘプバーンは、撮影現場で誰に対しても親切で明るい雰囲気を作り出し、ワグナーは彼女を「これまでに会った中で、最高に素晴らしい女性だ」と語っています。撮影は22日間で終了しました。

『おしゃれ泥棒2』は、ヘプバーンにとって『マイヤーリング』以来、30年ぶりのテレビ映画出演となりました。しかし、ABCは過去のテレビ出演を調べず、本作をヘプバーンのテレビデビューとして宣伝しました。そのため、当時の新聞や雑誌の批評記事などでも、本作がテレビデビューとして扱われているものが存在します。

また、ヘプバーンが本作に出演した理由として、彼女のエージェントであるカート・フリングスの生活を助けるため、出演料75万ドルの1割がフリングスに入るようにしたという説がありました。しかし、ワグナーは「カート・フリングスは経済的に余裕があった。オードリーはいつも出演を依頼されていたし、フリングスの経済状態にかかわりなくコミッションを払っていただろう。」と否定しています。

同時期にグレゴリー・ペックの伝記を執筆していた作家がヘプバーンにインタビューを依頼した際、フリングスに電話をすると、女性の声で「少しお待ちください」と言われた後、15分も待たされたというエピソードがあります。フリングスは発作で倒れてから、話すことが困難になっていたそうです。周囲はヘプバーンに新しいエージェントを探すように勧めたものの、ヘプバーンはそれを拒み、フリングスは1990年に亡くなるまで彼女のエージェントを務めました。

日本では、過去に東北新社からビデオが発売され、その後、ワーナー・ホーム・ビデオから「復刻シネマライブラリー」の一つとしてDVD-Rで発売されましたが、2020年現在は廃盤となっています。BSやCS放送で何度か字幕版が放映されていますが、吹替版はまだ一度も放送されていません。

評価

批評家はオードリー・ヘプバーンを絶賛しましたが、『おしゃれ泥棒2』自体に対しては厳しい評価を下しました。ロバート・ワグナーは、「批評家たちはこの映画に対して点が辛過ぎたように思う。たぶん期待が大き過ぎたのだろう。」と述べています。

外部リンク

おしゃれ泥棒2 - allcinema
おしゃれ泥棒2 - Yahoo! 映画
Love Among Thieves - オールムービー（英語）
Love Among Thieves - IMDb（英語）

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