おっちょこちょい節

おっちょこちょい節について

おっちょこちょい節（おっちょこちょいぶし）は、江戸時代から明治時代にかけて流行した日本の端唄であり、特に愉快な内容から多くの人々に愛されました。本曲は「猫じゃ猫じゃ」とも呼ばれることがあります。この歌は明治初期においても再流行し、庶民の間に広がりました。

歴史的背景

文政11年（1828年）に発表されて以来、徐々に一般的な流行歌として広まっていきました。江戸時代の俗曲としての位置づけの後、幕末から明治にかけても再び人気を博しました。このように、時代を超えて親しまれた曲として、多くの歌や踊りに影響を与えています。

歌詞の内容

おっちょこちょい節の歌詞は、特に「猫じゃ猫じゃ」というフレーズが特徴的です。歌詞の中では、猫を手なずける様子が描かれており、そこには人と猫の微妙な関係が表現されています。最も広く知られる歌詞の一部には、「猫ぢや猫ぢやとおしやますが、猫が、猫が杖突いて絞りの浴衣で来るものか」とあり、様々な登場人物のコミカルな動きがイメージされます。

この歌は、妾女の浮気が旦那に発覚しそうになるストーリーを背景にしています。旦那が急に家に入ってくると、妾女は焦るあまり、隠れている間男を「猫じゃ猫じゃ」と誤魔化そうとします。このように、曲のバックグラウンドには、江戸時代特有の生活や人間関係が垣間見えます。

出囃子と芸人

おっちょこちょい節は、多くの落語家や芸人にも愛され、出囃子として使われます。代表的な芸人には、四代目桂塩鯛や四代目桂米紫、立川志ら門、柳家小半治、四代目三遊亭市馬などが挙げられます。しかし、彼らだけでなく、江戸家猫八や江戸家まねき猫、さらには二代目江戸家小猫といった猫をテーマにした名前を持つ芸人たちもこの曲を顕著に扱っています。

関連項目

「おっちょこちょい節」は、他の文化や芸術にも影響を与えています。例えば、小説「吾輩は猫である」では、主人公がビールを飲みながら「猫じゃ猫じゃ」の踊りを踊りたくなるシーンが描かれています。また、戦後にはうぐいす芸者歌手が俗曲やお座敷歌で人気を博し、これに関連する曲として「猫おどり」が登場しました。

さらに、著名な作家である出久根達郎の著書『猫じゃ猫じゃ』や、歌手石川さゆりが2020年のアルバム「粋 ～Iki～ 」に収録した同名の曲など、多岐にわたっておっちょこちょい節はリファレンスされています。ロックバンド「人間椅子」もこの歌詞を元にした楽曲をリリースし、さまざまなジャンルでの影響が見られます。

このように、おっちょこちょい節は単なる曲という枠を超え、さまざまな文化的な影響源となっているのです。

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