おてんば宇宙人

『おてんば宇宙人』：視聴率低迷に終わった、個性豊かなSFコメディドラマ

1981年10月14日から12月9日まで、日本テレビ系列で放送された『おてんば宇宙人』。全9話という短い放送期間でしたが、個性豊かなキャラクターとテンポの良いストーリー展開で、当時話題を呼んだ作品です。本稿では、このドラマの魅力と、惜しまれつつも短命に終わった背景を探ります。

宇宙から来たおてんば王女と、地球での騒動

主人公は、アルファートゥインクル星のおてんば王女、チカ。結婚を嫌って地球に逃亡し、星野チカと名乗り、河口家に居候を始めます。しかし、彼女の逃亡劇はこれで終わりません。チカを追って、ギンギラ公爵も地球にやってくるのです。

物語は、チカの地球での珍道中と、河口家の人々との交流を中心に展開します。宇宙人独特の能力や文化、そして地球の文化とのギャップから生まれるコミカルな出来事や、人間関係の機微、王女としての葛藤など、多様な要素が織り込まれています。高見知佳演じるチカは、天真爛漫で自由奔放ながらも、どこか人間味あふれる魅力的なキャラクターとして描かれ、視聴者の心を掴みました。

『コメットさん』スタッフが再集結した意欲作

『おてんば宇宙人』は、TBS系列で放送され人気を博した『コメットさん』のスタッフが多数参加した作品です。『コメットさん』の原案・脚本を担当した佐々木守氏が、本作品でも原案と第1話の脚本を担当、監督の山際永三氏がメイン監督を務めるなど、制作陣の面々には『コメットさん』のDNAが色濃く反映されています。オープニングのアバンタイトルに東京ムービー制作のアニメーションを使用していた点も、共通点の一つです。

特に第1話では、チカが地球に来るまでのいきさつがアニメーションで表現され、物語の世界観を効果的に演出しています。後の話ではこのアニメーションパートは短縮され、代わりにチカ自身のナレーションが挿入されるなど、工夫が凝らされています。

惜しまれつつも幕を閉じた短命ドラマ

しかしながら、平均視聴率は3%（ビデオリサーチ、関東地方）と低迷し、当初予定されていた6か月の放送期間を待たずして、1981年12月9日に打ち切られました。

当時、人気を博していた『百獣王ゴライオン』などの影響や、放送枠の競争激化などが、視聴率低迷の要因として考えられます。また、ターゲット層とのずれや、宣伝不足なども、放送期間の短縮に影響を与えた可能性があります。

キャストとスタッフ

個性豊かなキャスト陣も本作の魅力の一つです。高見知佳演じるチカをはじめ、河原崎長一郎、北詰友樹、新井昌和、中村太郎など、ベテランから若手まで幅広い俳優陣が脇を固めました。さらに、横山やすし氏が演じるギンギラ公爵も、強烈な個性を放つキャラクターとして作品に彩りを添えています。主題歌「ロマンティック・アドベンチャー」と挿入歌「ペーパー・ムーンに腰かけて」も高見知佳が担当し、作品の世界観を盛り上げています。

企画：吉川斌
プロデューサー：武井英彦、古屋克征、森川一雄
原案：佐々木守
脚本：佐々木守、金子裕、阿井文瓶、寺田隆生
音楽：宮本光雄
アニメーション製作：東京ムービー
アニメーションディレクター：石黒昇
監督：山際永三、小池要之助
制作：国際放映

結論

『おてんば宇宙人』は、視聴率という点では成功とは言えませんでしたが、個性豊かなキャラクター、テンポの良いストーリー、そして『コメットさん』の流れを汲む高いクオリティを持つ作品でした。短命に終わったことが惜しまれる、隠れた名作と言えるでしょう。 その魅力は、現在でも多くのファンに語り継がれています。

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