おひさま (雑誌)

幼児雑誌『おひさま』：親子の絆を育んだ一冊

『おひさま』は、小学館が発行していた幼児向けの月刊雑誌です。1994年、既存の雑誌『幼稚園』の増刊号として誕生し、翌年には独立した雑誌として刊行されました。実は、1970年代にも同名の幼児誌が存在しており、長い歴史を持つタイトルと言えるでしょう。

『おひさま』の大きな特徴は、親子の読み聞かせを強く推奨していた点にあります。誌面構成も読み聞かせに最適化されており、親子の温かい時間を演出する役割を果たしました。誌面には、著名な作家やイラストレーターによる魅力的な物語が数多く掲載され、子どもたちの豊かな想像力を育むのに貢献しました。

また、『おひさま』は、将来の絵本作家を育成する場としても機能していました。「おひさま大賞」というコンテストを開催し、新人によるオリジナル絵本や童話の応募を受け付けていました。このコンテストには、角野栄子氏や荒井良二氏など、第一線の絵本作家が審査員として参加しており、高い注目を集めていました。受賞作品の中には、後に広く知られるようになった作品も少なくありません。

さらに、公式サイトでは「にこにこげきじょう」というコーナーを設け、人気声優による作品朗読を提供していました。誌面に掲載された物語を、プロの声優が朗読することで、より魅力的な作品体験を届けていました。文字を読むのがまだ難しい年齢の子どもたちにとっても、物語の世界を楽しむことができる工夫が凝らされていました。

『おひさま』には、多くの魅力的な連載作品が掲載されていました。柏葉幸子氏と荒木慎司氏による『ファンファン・ファーマシィー』、さべあのま氏による『スージーちゃんとマービー』、角野栄子氏と黒井健氏による『アコちゃんシリーズ』など、長く愛された作品が数多く連載されました。これらの作品は、多くの読者に親しまれ、世代を超えて語り継がれる名作となりました。

連載期間の長い作品としては、以下のものがあります。

『ファンファン・ファーマシィー』（1995年4月号～1999年5月号）
『スージーちゃんとマービー』（1995年4月号～2002年2月号）
『アコちゃんシリーズ』（1995年4月号～2003年3月号）
『へんてこライオン』（1995年4月号～2004年3月号）
『ちびねこ』（1995年4月号～2006年12月号）
『ミラクルクレヨンのクレヨンまる』（1996年1月号～2010年6・7月号）
『センシュちゃんとウオットちゃん』（2000年1月号～2015年2・3月号）
『フンガくん』（2001年1月号～2017年8・9月号）
『こねこのきょうだい グルグルとゴロゴロ』（2003年4月号～2010年12・2011年1月号）
『パンやのろくちゃん』（2005年9月号～2017年4・5月号）
* 『チェブラーシカ』（2007年8月号～2018年2・3月号）

これらの作品は、それぞれ個性豊かなキャラクターと魅力的なストーリーで、多くの読者を魅了しました。

月刊誌としてスタートした『おひさま』でしたが、2010年には隔月刊化され、2018年1月15日発売の2・3月号をもって休刊となりました。しかし、誌面に掲載された作品や、雑誌を通して育まれた親子の思い出は、多くの人々の心に深く刻み込まれています。

『おひさま』は、単なる幼児雑誌という枠を超え、親子の絆を育み、子どもの心を豊かにする、かけがえのない存在でした。その功績は、これからも多くの人々に語り継がれていくでしょう。

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